「ご飯できたよー!」



夕暮れ時、小さな無人島に少女の元気な声が響いた。





愛情料理





食事の準備ができた。
少女の声を聞いたガンダムマイスター達は、腹ペコだったのか直ぐに食卓に集まった。
食事時に全員揃うのは珍しい。


「はい、いっぱい食べてね?」


皆でご飯を食べられる事は幸せだと思う。
少女は嬉しそうに料理を配った。
自信作。
美味しそうだ!美味しい!と喜んでもらえるに違いない。
そう思いながら配ったのだが―――


「今日のメシは〜……なんだ、これ?」

「これって……」

「ヴェーダ、これは……」


ロックオン、アレルヤ、ティエリアの三人は料理を見て固まった。
何だこれは?と。


「えー、知らないの?これはね〜、肉じゃが。こっちは白米でしょ、これはお味噌汁で、これは糠漬けよ」

「日本の料理だ」


固まっている三人に、少女は笑顔で料理の説明をした。
黙って座っていた刹那も、日本の料理だ。と付け足す。
美味いぞ。そんな顔をして。


「いや、それは分かってるんだけどな……」


少女と刹那の顔を見ながら苦笑するロックオン。
出された料理は分かっている。
分からないのは、謎なのは、料理の中に入っている物。
多分、アレとアレとアレだと思うが……。


「分かっているなら黙って食え。の料理にケチを付ける気か?」


少女―の料理、黙って食え。
刹那は先割れスプーンでじゃが芋を取りながらロックオンを睨み、言った。
が作る物は何でも美味い。
もぐもぐ、むぐむぐ。
顔を引きつらせている他のマイスターを気にせず、刹那はひたすら料理を口に運んでいる。


「美味しい?刹那」

「ああ、美味い」

「良かった」


は刹那の皿に漬物を乗せながら嬉しそうに微笑む。
なんていうか、ここで食べなければ悪者だと思われるに違いない。


「……食うか」

「……いただきます」

「いただきます」


ロックオン、アレルヤ、ティエリアの三人は覚悟を決めて先割れスプーンを手に取った。
そしてそれぞれ料理を口に運んだ。


「……」

「……」

「……」


もう駄目だ。
言わせて貰う。
三人はほぼ同時に大きな声を出した。


、お前、何だって皮付きのバナナを糠付けになんかしたんだ!?」

、どうして味噌汁にミカンなんて入れたんだい!?」

、肉じゃがにパイナップルを入れたりした理由はなんだ!?」


何故に果物を入れたのか。
分からない。
合わないじゃないか。
バナナやミカン、パイナップルで白米を食えというのは厳しいものがある。
絶対に無理だとは言わないが、普通に考えたら避けたいだろう。
三人は涙目でに訴えたが、返ってきた答えは本格的に泣けるものだった。


「なんでって、冷蔵庫に入ってたから」


何か問題でも?という顔をしている。
駄目だ、このままじゃ駄目だ。
そう思った三人は涙を堪えながら刹那を見た。
何か言え。
言ってくれ。
頼む。


「ある物を使って上手く作る……料理上手な証拠だ」


駄目だこいつ、早く何とかしないと!
三人は心の中で拳を握った。
と刹那はというと―――


「あ、刹那ったら!ホッペにご飯粒付けたりして〜子供みたいっ」

「……取ってくれるか?」

「うんっ。じっとしててね?」


まるで新婚夫婦のようにイチャついている。
料理や皆の事などまるで気にしていないよう。
こうなったらもう―――


「もう自棄だ」

「ハレルヤ、覚悟はいいかい?」

「ティエリア・アーデ、目標を片付ける!」


蚊帳の外に放り出された三人は無表情で食事を進めだした。
色々な思いは料理と共に飲み込むのだ。
今はそれしか出来そうにない。


「今夜は」

「夢の中でミカンに追いかけられそうだよ」

「当分パイナップルは見たくない」


悲しい呟きは誰にも届かない。
明日は桃カレー。









あまり絡んでいませんが、刹那夢でした><。
もう少し色々と動かす事ができたらなーと思うのですが、中々TAT
―それでは、読んで下さってありがとうございました。



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