トレミーに新メンバーがやって来る。
ティエリア・アーデの婚約者だと、王 留美が言っていた。
一体どんな子なのだろう?



ティエリアさんの婚約者





「いよいよだね」

「可愛い子なんだろうなー。羨ましいぜ、このぉ」

「止めて下さい」

「照れるな」

「照れてなどいない」


アレルヤ、ロックオン、ティエリア、刹那の順に並んでお出迎え。
待つこと数分、待ちに待った新メンバーがやって来た。


「ティエリア〜」


艶やかな髪に神秘的な色の大きな瞳を持つ、どこかおっとりとした感じのする少女。
皆が「可愛いな」と思い見惚れていると―――



どてっ。
ごんっ。



突然、少女が倒れた。
ホワーンと歩いていた為、躓いて転んでしまったのだ。


「……痛い」

「おいおいっ、大丈夫か?」

「怪我はない?」


座ったままおでこを擦っている少女を立たせようとロックオン、アレルヤの二人が動こうとした瞬間、
ティエリアが無言のまま動いた。
少女の前に立ち、スッと右手を差し出す。
すると―――


「ティエリアの手〜」


少女は喜び、まるで「待ってました」といわんばかりに差し出された手に掴まった。
そして立ち上がるとポフンとティエリアの胸に顔を埋め、一言、会いたかった。と呟いた。
寂しかったのだろう。
ティエリアは少女を抱え込み、目を閉じる。
柔らかくて温かい。
何よりも誰よりも大切な者。


「……俺も……会いたかった」

「本当?」

「ああ」


嘘などない。
愛しい者に嘘など―――


「あー、邪魔して悪いんだが、ちょっといいか?」

「僕達はどうしたらいいのかな?」

「見せ付けるな」


久しぶりの幸福感に浸っていたらロックオン達に邪魔をされた。
当たり前と言ったら当たり前なのだが、それでもムッとしてしまう。
挨拶がまだだとか、人前だとか、分かってはいるけれどムッとしてしまう。


「……失礼しました。、彼らに挨拶を」


ティエリアは少女―を抱いたまま眼鏡を光らせた。
黙って待っていろ。邪魔をするなど万死に値する。などと思っている。
が、はというと―――


「あ、ごめんなさい。えっと、初めまして。といいます。よろしくお願いします」


邪魔をされた事に腹を立ててなどいない。
腹を立てるどころか慌ててティエリアから離れ、人懐っこい笑みを浮かべながら自己紹介をした。
癒されるような笑顔を見たマイスター達は、仲良くなれそうだと思う。
良い子みたいで安心した。


か、可愛い名前だな。俺は―――」

「行くぞ」


女性には特に優しいロックオン。
握手を求めながらに近付いた途端、ティエリアが割り込んできた。


「えっ?」

「おいっ、まだ俺達の自己紹介が済んでないぞ!?」

「必要ありません。後でデータを見せますから」


ティエリアはロックオンの抗議の声を聞かず、の腕をグイっと取り、歩き出した。
次はスメラギ達の所だと言いながら。


「えっ、えっ、あ、また後でー」


は「また後で」と言いながらティエリアに引っ張られていく。
残されたマイスター達は二人を見送った後、顔を見合わせ肩をすくめた。


「可愛いねぇ」

「とられると思ったのかも」

「意外だな」










―通路―


「ティエリア?」

「……」

「ティエリアー?」

「……なんだ」

「怒ってるの?」

「別に」


ティエリアはの腕をとったまま真っ直ぐ前を向いて進んでいる。
話しかけても顔を見ようとしない。
怒っている証拠だ。
はティエリアの腕をグイグイ引っ張りながら聞き続ける。


「ねーえぇ、怒ってるよね?」

「怒ってなどいない」

「怒ってるよー」

「……」

「ティエリアー」

「っ、うるさいっ」


相手をするまでこの調子だろう。
全く……と思ったティエリアは、立ち止まるとをトンと壁に軽く押し付た。


「少し黙っていろ」

「んうっ」


一言も話す事を許さず、唇を重ねる。
思考も言葉も奪う口付け。


「ん……は、んっ」


何度も舌を絡め取られ、はもう限界。
体から力が抜け、崩れそうになる。


「早いな」

「だっ。。。て」


支えがないと立っていられない。
はティエリアの服をギュッと掴み、体を預けた。
そして、考えた。
ティエリアは何故怒っていたのだろう?
特に何かした覚えはないのに、何故?
分からない。
分からないから、また怒らせてしまうかもしれないけれど聞いてみよう。


「……ねえ、ティエリア」

「なんだ?」

「どうして怒っていたの?」


大丈夫かな?
不安気な目でチラリとティエリアの顔を見上げると、紅の瞳と視線がぶつかった。
怒ってはいないようだが―――


「……分かっていないのか」

「ティっ!?や、んっ」


分かっていないのか。
そう一言漏らした後、ティエリアはを抱き上げ耳に舌を這わせた。


「俺以外の男にあんな笑顔を見せるなんて……」

「笑顔って、ひあっ!んっ、駄目っ、耳噛んじゃ駄目っ」


もう怒ってはいないが、少し拗ねてはいる。

自分だけを見ていて欲しい。
自分の事だけを考え、想っていて欲しい。
自分以外の男に愛らしい笑顔を見せないで欲しい。

この思いを解ってもらえていなかったなんて。
ショックだとしか言いようがない。


、今日の君に拒否権はない。いいな?」

「ティエリア!?あのっ、まだ」

「後でいい」


ティエリアはをひょいっと姫抱きすると、自室がある方向へと足を向けた。



部屋でたっぷりと俺の想いを叩き込む。
もう嫌だと泣いても止めない。
何度でも繰り返す。

俺以外の全ての者を忘れるまで―――











お疲れ様でした*><*/
今回のヒロインはティエリアの婚約者〜v
これ以上書いていると裏に突入する!というわけで、無理やり完成させたのですが……むう。
中途半端ですが、気に入って頂けたら幸いです*^^*
それでは、読んで下さってありがとうございました。



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