看病







劉道士の自室。

薄暗い部屋の中、は一人劉の傷の手当てをしている。
出きる事は全てした。
後は見守るしかないのだが、どうしてもじっとしていられない。
つい先ほど取り替えたばかりだというのに、また包帯を取替え始めたりする。


「・・・お師匠様」
包帯を巻きながら、大好きな師匠の身を心配する
適切な処置をした。キョンシー化することなど有り得ない。
そう思ってはいても、やはり辛い。
たまに苦しそうな声を出すから。

私、何もできない。

師匠が苦しんでいる時にただ見守っているしかできない自分を情けなく思い、涙を零しそうになっていると、

『うう?あうああああうう。(訳:どう?道士の具合)」

聖が部屋にやって来た。
へのお茶と、劉の体を拭くためのタオルを持って。

「ありがとう。お師匠様は変わりないわ。大丈夫よ」
涙を押し戻しニッコリ笑って言うと、聖もホッとしたように微笑み、
『あうっう。あう、あううあうあうううっうう。あううあっあああうう。
(訳:良かった。じゃあ、俺はまた向こう行ってる。何かあったら呼んで)』
と言い、部屋を出て行った。




『あう・・・(訳:・・・)』
聖はが泣きそうな顔をしていたのに気付いていた。
が、何も言わなかった。言えなかった。
本当に大切に想う人が辛そうにしている時、そんな時は何を言っていいか分からない。中々言葉をかけられないもの。
ただ黙って側にいたり、抱きしめたりするという選択もあるが、今はできない。
つけ込むような事はしたくない。
『・・・あううあう、あううあううあううああう・・・(訳:今はまだ、側に来れただけでいいか)』
遠くから見ているだけだった女性の側に来れた。今はそれだけでいいじゃないか。
自分に言い聞かせるように呟いて、聖はまた縁側に腰をかけ月を仰ぎ見る。
『あう、あうううあ〜(訳:ああ、満月だ〜)』


再び劉の自室

は聖が持ってきてくれたタオルで劉の額や首筋を拭っている。
少しでも汗による不快感を消してあげたい。
そう思い拭っている最中、ふと考えた。
「額や首筋だけじゃあまり変わらないよね・・・」
と。
体のほうまで拭わねば不快感は消えない。
拭ってあげたい。が、劉は男性、自分は女性。
劉は師匠で自分は弟子。どうにも手が出せない。
「ど、どうしよう・・・でも・・・このままじゃお師匠様も不快だろうし、風邪もひいちゃいそう」
はしばらく「うーん、うーーん」と考えていたが、師匠の体のため!と決め、
「お師匠様、失礼します」
とそっと囁き、劉の服に手をかけた。
胸元がチラリと見えたその時、

ガッ

「!!!」
手首を思いっきり掴まれ、はびくっとした。
「お、お師匠様っ・・・ごめんなさい、私っ」
激しく動揺しながら言うと、
「・・ああ、か。すまない」
劉はゆっくりと目を開け、を見ると微笑み手首を強く掴んでしまったことを詫びた。
胸元に手をかけられたのを感じ、半ば無意識に掴んでしまったのだ。
「あっ、いえ・・・」
行動を咎められてはいないことが分かり、はホッとした。
そしてそっと手を離され後、急にドキドキしてきた。

ど、どうしよう・・・

少し困っていると、
、そのタオルを貸してくれないか?」
劉が話しかけてきた。
ああ、汗を拭わなくちゃなんだ。
と思った、「はい」と返事をしタオルを差し出した瞬間・・・

「!?」

手を強く引かれた。
「なに――?」と思った次の瞬間には、ボフッと暖かい何かに当たった。
しばしのフリーズ。
混乱している頭で必死に考える。

この暖かい感触は・・・人間・・・
この部屋に私以外の人間は・・・お師匠様だけ・・・
お師匠様?じゃあ・・・今、私は―――

そっと顔を上げる
目の前にいたのは・・・

「・・・すまない・・・私も半分混乱しているのだ」
少し困りぎみの劉。
だがその瞳はまっすぐにを見据えている。
「お、お師匠様っ」
とっさに下を向く。
自分がどういう状態にあるのかを理解したは動揺した。

わ、私っ、お師匠様に抱きしめられてるっ!
どど、どうしたらいいんだろう・・・嫌じゃない、嬉しい。だけど、こんな、急にっ。

初めてのことにドキドキしていると、少し体を離された。
あれ?どうしたんだろう?そう思い顔を上げると・・・

「!!!」

唇を奪われた。
は大きな瞳をさらに大きくする。

え?お、お師匠様?
何が何だか分からないが、唇を重ねているのは大好きな劉で・・・
何でこうなっているのか?
色んな事が頭の中をグルグル回る。が、纏められない。
次第に何も考えられなくなってくる。
全身の力も、吸い取られているように抜けてくる。

深い、深い口付け。

「っふ、ん・・・は・・・」
苦しくなり酸素を求め始めた時、ちゅっと音を立て唇が離された。
酸素を求め始めたを感じて仕方なく開放した。
そんな感じで。

「はぁ・・・ん」

、ボーっとしていると、急に身体をバッと離された。
・・・すまないっ。忘れてくれ」
と言う劉の言葉。
「?」
訳が分からないは顔を上げ師匠の顔を見る。

の瞳はすでにトロンとしていて、ほんの少し開かれた唇が色っぽい。

「っ・・・・・」
劉は自分を見つめるを見て、これ以上は欲望を抑えられない・・・と思った。


弟子として自分の元へやって来た時はまだ15歳という少女だった。
泣き虫で修行中も弱音ばかり。
しまいにはキョンシーを見て倒れる。
道士に向いていない。
何度故郷に帰そうと思ったことか・・・。
そんなも今では自分と肩を並べキョンシーに立ち向かえるほどになった。


欲しい・・・


共に人生を歩む者して・・・


美しく、立派な女性に成長したが・・・


師匠が弟子にこんな気持ちを抱くなど、許されることではない。
分かっている。
しかし、止められない。
止めることができない。
気付いてしまった想いを止めることなど出来ない。


いつの間にか、劉の中では弟子以上の存在となっていた。
今までは、「気のせい、考えすぎだ。熱でもあるのだろう」と誤魔化せていた。
が、昼間、聖と楽しそうに話しているを見て気付いたのだ。
自分はを女性として大切に思っているのだ、と。




っ・・・・・」
劉は再びをグッと抱き寄せると、先ほどとは比べ物にならない情熱的な口付けを浴びせた。
唇、歯列を舐め、口内を激しくかきまぜる。
「んっ・・ふ・・・んぅっ」
耳障りの良い甘い吐息がから漏れる。
数分後・・・
唇を開放された、思考力は半分麻痺してしまっていた。

「はぁ・・・おししょ・・様・・」

完全に脱力してしまっている。
そんなを、劉は優しく押し倒した。
真っ白なシーツにの美しい黒髪が広がる。

「・・・、嫌なら・・・拒否してかまわない」
劉がの頬を撫でながら言うと、
「い・・嫌では、ありません・・・お師匠様・・なら・・・私っ・・お師匠様のこと・・・」
は恥ずかしそうに顔を背けながら、嫌ではない。と劉に告げた。
ずっと想いを寄せていた。だから、嫌ではない。嬉しい。と。
は言葉を聞いてニッコリと微笑むと、の首筋に顔を埋めた。

「んっ・・・」

の身体がピクリと反応する。
劉は、耳たぶ・首筋に舌を這わせながら、愛しい女性の身体を覆っている衣を一枚一枚丁寧に脱がせていく。
数十秒後には、はたった一枚の布を身につけただけの姿にされていた。

・・綺麗だ・・・」

窓から差し込む月の光は、の肌をより一層白く、美しく見せる。
劉はしなやかな手さばきでの美しいくびれをひと撫ですると、自身の衣を脱ぎ始めた。
は今までよりも少し頬を赤らめ、劉から視線を外して大人しく横たわっている。


鼓動が早すぎてちょっと苦しい・・・
この音・・お師匠様に聞こえちゃったりしてるのかな・・・


、別に余裕があるわけではない。
初めてのこと。不安がないわけがない。
心臓が胸を突き破って飛び出してしまいそうだ。
それなのに、どこか落ち着いていられるのは・・・やはり相手が何年も想いつづけてきた師匠だからだろうか。


どうしよう・・・
私、どうしていいか何も分からない・・・
お師匠様を退屈させちゃったりしないかな・・・


が色々と思っていると、
?」
心配そうな声が聞こえた。
、ハッとして声の方を見ると、劉が心配そうな顔をしていた。
「・・・怖いのか?」
そう聞きながら、優しくの頬を撫でる劉。
暖かくて大きな手・・・
色々と不安に思っていた事が消えていく。
は微笑み、「大丈夫です」と告げた。
すると劉はフッと微笑み、の首筋に顔を埋め、吸い付いた。
先ほどと少し違うのは・・・

「やっ・・ぁんっ」

首筋・耳たぶに唇を寄せながら、ふっくらと膨らんだ柔らかい山を優しく揉んでいる。
たまに、頂にある小さな実を摘んだり。
「はぁ・・ん・・・」
体温が上がるのを感じながら、うっとりと身を任せる
身をくねらせ、与えられる快感に酔いしれていると、
・・・あまり声を上げるな・・聖に、聞こえるぞ?」
劉が意地悪に耳元で囁いた。
「っ・・はぁ・・・でもっ・・・」
は、声を抑えられないほどの快感を私に与えているのはお師匠様。
という抗議をしようとするが、言葉にできない。
劉はそんなを満足気に見つめ、手を胸からさらに下へと移動させた。
わき腹を撫で、太ももにゆっくりと手を這わせる。
舐めるように撫でられた
「やんっ、お師匠様っ・・・くすぐったい」
と、逃れるため少し足を動かす。
すると、それを狙っていたかのように劉の手がスッと内股へ入り込んできた。
ビクリと身体を振るわせる
劉はの反応に、
「ん?どうした?」
などとわざとらしく聞きながら、手をのまだ誰も触れたことのない場所へと伸ばす。
「やっ、おししょ様っ、駄目・・・」
そんな所触っちゃイヤ!と、首をふるふると振るが、聞き入れてもらえるはずがない。
「どうして?」
劉は意地悪な笑みを浮かべると、かまわず触れ、中心部を撫で上げる。

「ひゃっ・・」

びくん!との身体が跳ね上がった。
布越しだというのに、かなりの反応。
劉はクスリと笑い、
、もう取り去ってもいいだろう?」
と言うと、一番大切な場所を隠してしまっている布へと手をかけた。
はイヤイヤっと首を左右に振るが、微笑んで、無視。
スルリとの足から取り去ってしまう。
「いじわるっ・・・」
は顔を真っ赤に染め、潤んだ瞳で劉を睨む。
が、その行為はさらに劉の熱を上げるだけ。
睨まれた劉は、
「可愛すぎるが悪い。つい意地悪をしてしまいたくなる」
と言って、の太股に手をかけ、足を開かせた。
秘所があらわになる。
「いやっ、いやっ、駄目ぇぇっ」
は足を閉じようとするが、劉が間に入り込んでいるので、閉じられない。
「やぁん・・・お師匠様ぁ・・恥ずかしいよ・・」
恥ずかしい、見ないで・・・とお願いするが、劉の行動は止まらない。
「あぁ、。とても綺麗だ。美味しそうなピンク色、それに・・・こんなに濡らして」
言いながら劉はの秘所に触れる。今度は直だ。

くちゅり・・くちゅっ・・・

粘着質な水音が響く。

「んっ、ああああっ、あっ」

は身体を弓のように仰け反らせ、歓喜の声を上げる。
その様子を見た劉は、さらなる快感を与えようと秘所内に隠された真珠を探す。
そんなに難しい所に隠されているわけではない宝、も興奮している。すぐに見つけることが出来る。
、これはどうだ?」
言葉よりも早く、真珠を刺激してやる。

「はぁっ!ん!やっ、やっ、あんっ・・・」

羞恥心など既にない。
踊るように跳ねるの身体。

劉もだんだんと我慢がきかなくなってくる。
早くの内部へ入り込みたいという欲望が強くなる。
・・・」
劉が優しく名を呼ぶと、
「っは・・ん・・おししょ・・様?」
はウットリとした表情で見つめてきた。
その瞳は涙を零しそうなくらい潤んでいる。
たまらない愛しさがこみあげる。
劉はの頭を撫でてやりながら、
「・・・挿れて、いいか?」
と聞く。
するとは、コクリと頷いた。
意味を理解しているか、していないかは微妙。
だが、今の劉に確認している余裕などない。
頷きを合意と取り、劉はの足を大きく開かせる。
そして自身の硬さを確認し、秘所へそっと押し付けた。
ぴくん・・・とが小さな反応を示す。
・・・いくぞ?」
言って、劉はグっと押し入る。

「いっ、痛いっ・・・いやぁっいたっ!」

少し侵入した途端、は痛い!と言い、劉をどかそうとグイグイ押してきた。
当然の反応。
が、劉に止める気はない。
、大丈夫だ・・・入ってしまえばもうっ・・力を抜いてっ」
キツく締め付けられ劉も苦痛を感じている。
「やっ、やあぁっ」
は涙をぽろぽろと零し、痛い、嫌だと言う。
劉はそんなを安心させるため、苦痛を堪え微笑みを浮かべる。
、大丈夫だから・・・な?」
を抱きかかえ、口付けを落とす。
と、の力が少し抜けた。
「っ!」
劉はチャンスを逃さず、一気に奥まで突き立てた。

「っあああっ!」

膜を破られた、ぎゅっと劉にしがみつき、痛みが和らぐのを待つ。
接合部からは少し血が流れている。
「・・大丈夫か?」
劉が心配そうに聞くとは、
「・・・ん・・ちょっと・・・痛いけど」
大丈夫。と、ニコっと微笑んだ。目じりに涙の玉をためながら。

愛しい・・・

劉は微笑み返し、の涙を唇で拭ってやると、
「そろそろ動いて平気か?」
と聞く。
は返事の代わりに、劉の背に回した腕にきゅっと力を込めた。

ぎしっ・・・ぎしっ・・・

ベッドの軋む音と、水音、男女の荒い呼吸が室内を支配する。












月を眺めていた聖、ピクリと動く。
『?』

血の匂い・・・・・
甘い香り・・・
劉道士のものじゃない・・・この匂い・・・―――?

キョンシーである聖は血の匂いに敏感。
すくっと立ち上がると、劉の部屋へと足を向けた。
何かあったのだろうか?と気になる。


そっと近づき、室内を覗くと・・・


『!!!!!』

聖の目に飛び込んできたのは、愛しい女性と、恩人の、情を交わす姿。
その場に凍りつく聖。
離れたい。見たくない。早く立ち去りたい。なのに・・・体が動かない。
まるでお札を貼られているみたいに、動けない。


「っあっ・・んっ、はぁっ・・・」


愛しい女性の・・・の甘い声が聞こえる・・・


『っ・・・・・』
聖は唇を噛み締め、グッと拳を握ると、踵を返し元の場所を目指す。

様子なんて見に来なければ良かった・・・
気付かず、月を眺めていられれば幸せだった・・・

聖は苛立つ心を抑え、どかっと元の場所に座った。

どうして・・・
人間だったらこんな思いしなくて良かった・・・
人間だったら気付かずにいられた・・・
人間だったら想いを伝えられる・・・

どうして どうして どうして

拳を地面に叩きつけ、感情を抑える聖の頭に、謎の声が聞こえた。
自分の声ではない。
冷たい声。


奪ってしまえよ。
キョンシーでも問題はないさ。
お前は普通のキョンシーじゃないんだ。
欲しければ奪え。
無理やりにでも手に入れればいい。


『っ!?』


何なんだよ・・・一体誰だ!?
うるさい・・・黙れ!黙れっ!黙れ―――!!

『・・・っ』

しばらく頭を抱え地面にうずくまっていると、声はしなくなった。
『うぅ、あっあうあ・・・?(訳:何、だったんだ)』

何だかわけがわからない。
聖は月を見上げ、こみ上げてくるものを堪えた。
そして見上げたまま、地べたに倒れる。

このまま寝てしまえっ!きっと・・・朝には・・・落ち着いているはず。

そんなことを思いながら、聖は目を閉じた。










劉の部屋

情事を終えた劉とは、互いに抱き合い、眠りに付こうとしていた。
もちろん、言い訳できるよう、服はきちんと着ている。
「お師匠様・・・ふふっ、何でもないっ」
劉を見つめ、幸せそうに笑う
「何だ?気になるじゃないか、ちゃんと言いなさい」
劉もの髪を撫で、幸せそうに微笑む。
すっかり恋人同士。
「・・・大好きっ」
はそう言うと、ぼふっという感じで劉の胸に顔を埋めた。
そしてそのまま寝る体勢。
劉は、知っているさ。というようにを抱え、
「・・・私もだ・・・愛している」
と言い、目を閉じた。
明日もまた、朝早くに祈りを捧げるという仕事が待っている。


師弟関係から、師弟恋人関係へ。
大きく進展した夜。













お疲れ様でした^^
初のキョンシー裏。やたら長いっ。無駄に長いっ。
もっと綺麗に纏めて詰めろよ。と言う感じですが、勘弁してやって下さい。
この作品、リクエスト下さった方へ捧げさせていただきます。
(捧げるのは壁紙なしバージョン)
それでは、ありがとうございました。



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