12/23
ミネルバに最高評議会議長、ギルバート・デュランダルから直接通信が入った。
日頃の功績を称え、クリスマスパーティーに招待したいと思う。と。
Holy night 3
12/24
ミネルバクルーは招待されたパーティーを楽しんでいる
ただ一人、ミネルバ艦長、タリア・グラディスを除いて。
「はあ。よくやるわね」
艦長は不機嫌そう。
日頃の功績を称えて。
など、ただの口実。
どこかの狸さんはミネルバのアイドル、・がお目当てなのだと気づいているから。
可愛らしい子だし、気持ちは分からないでもないが……
「やりすぎだわ」
ことあるごとに呼び寄せられたり押しかけられたりで遊んでいては……
他の部隊に示しがつかない。
ただでさえ陰口を叩かれているというのに。
せっかくのパーティーだが心底楽しむなど出来そうにない。
なんて、思っているのは艦長だけ。
「これは凄い!」
「おいしいー」
「ちょっとメイリン、少しは遠慮しなさいよっ。て、アスラン?ちゃんと食べてます?」
「え、ああ。食べている。大丈夫だ」
「、議長と何話してるんだろ?」
「さあな。今は何も考えずにただ楽しめ。割り込みたくとも割り込めはしない」
クルー達は楽しんでいる。
アイドル、は……
「はい!とても」
「そうか、それは良かった。気になっていたからね」
皆とは少し離れた場所でギルバートと話しこんでいる。
ギルバーロボのお礼にと贈られたグフイグナイテッド(ダンシング議長〜アスランの悲劇〜参照)の調子など、色々。
話しこんで楽しんで時間はどんどん過ぎて―――
パーティー後
日付は変わって12/25
はホテルの部屋でくつろいでいる。
いつも艦内の狭い部屋で過ごしているので広い部屋が嬉しくてたまらない。
「久しぶりだな〜こんな風にゆっくり過ごせるのって」
ベッドに腰かけ、天から静かに舞い降りる雪を見ていると
「ああーーー!!」
叫び声が聞こえた後、ギルバートが落下していく姿が見えた。
「なっ、えっ!?」
一瞬の出来事だったが、の目にはスローモーションのように見えていた。
何処か切ない笑みを浮かべていたように見えたのは気のせいだったかもしれないけれど、落下していったのは間違いなく議長。
たしかにギルバート・デュランダルだった。
見間違いではない。
の脳裏に「最高評議会議長、謎の転落死」という文字が浮かぶ。
「議長!?」
慌ててバルコニーへ出ると、ギルバートは片手で手すりに掴まり転落死を免れていた。
額から流血している。手すりにぶつかったのだろう。
慌てて走り寄るとバツの悪そうな顔で「やあ、。すまないが手を貸してもらえないかな?」と助けを求めてきた。
嫌です。
などと拒否することは出来ない。
引っ張り揚げて部屋へ招き入れる。
「あの、議長、いったい……」
「ん?ああ、君だけのサンタクロースを気取ってみたくてね、頑張ったのだが……見事に失敗してしまったよ」
そう言ってギルバートは自嘲気味に笑った。
やろうとしていた事は、屋上からダイブして華麗にバルコニーに下り立つ。
そして硝子戸をノックし、が出てきたら笑顔で「メリークリスマス」。
……練習では上手くいっていたのに。
張り切り、勢いをつけて飛びすぎてしまったため失敗。
危うく"仮面の友人"に笑われに旅立ってしまうところだった。
「格好の悪い姿を見せてしまった後だが……受け取ってくれるかな?」
今度は少し照れたような笑みを浮かべ、そっとプレゼントを差し出す。
「え?あ、ありがとうございます……」
は一瞬戸惑った後、プレゼントを受け取りながら潤んだ瞳でギルバートを見上げ見つめた。
これはイケる。
良いムードだ。
ギルバートは心の中でガッツポーズ。
これは決まりだ。
そう思っていると――
「議長、あの……」
「ん?何かな?」
は急にギルバートから視線を外し、そわそわし出した。
伝えたいことがあるのだが伝え難い。という様子。
ギルバートは一瞬「どうしたのか?」と眉を寄せたが、すぐに笑顔を取り戻した。
ああ、分かっているよ。
言わなくても分かっている。
けれど、君の口から聞きたい。
さあ、伝えてくれ。
私への想いを。
穏やかに微笑み、言葉を待つ。
「あの……あの、議長っ、私っ」
の瞳からは今にも涙が零れ落ちそう。
ああ、急がなくて良いのだよ。
落ち着いて伝えておくれ、私への想い――
「そろそろ止血をなさった方がよろしいのでは?と思うんです!」
気になって気になって仕方がなかった。
議長の額から止まることなく流れている血。
"失血"大サービス。
早く止血をしないと大変な事になってしまう。
は泣きだしそうだ。
このままここで議長が倒れたりしたら……。
お願いですから早く手当てを受けてください。という涙の訴えにギルバートは――
「うむ、手当てをしてもらった方が良さそうだね」
傷を確認し、落ち込みたいのを押さえて無理やり笑顔を作った。
いいのだよ。
私の心配をしてくれた。
今はそれだけで十分だ。
後日ゆっくり話をしよう。
そう言い残し、ギルバートはヨロヨロとの部屋を出て行った。
「議長……大丈夫かな」
は一人、貰ったプレゼントを抱えて呟いた。
ちょっぴり嬉しく、ちょっぴり悲しい夜。
プレゼントの中身は"発信機付き"ペンダント。
メリークリスマス。
後日……
「やあ、久しぶりだね、ラウ。私を笑いに来たのかな?」
ギルバートは病室のベッドの上、友の幻を見ている。
大量失血と風邪による発熱。
これで元気良く動き回っていたら化け物だ。
あっという間に過ぎ去ったクリスマス。入れ替わりに始まったクルシミマス。
大晦日までには治るだろう。
間に合ったーっ><。何とか間に合いましたv
今年も滑り込みセーフ。
もっと余裕を持ってアップしろよ。って感じでごめんなさいTT。
それでは、失礼いたします。
ありがとうございました^^。
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