これは、アーモリーワンMS強奪事件後、とある暇な時間の話。
strawberry
「暇だなぁ〜。ドロボーさん(ボギーワンことガーティ・ルー)達、どっか行っちゃったままだし……」
ミネルバ艦内、食堂。
一人の少女がスプーンを銜え、ぼやいている。
少女の名は・。16歳。
パッと見、全てが愛らしい、赤服を纏うMSパイロット。
機体は強奪されてしまったため・・・ザク。
「何処に消えたのよぉ〜…私のアビス返してよ…カオスとガイアも…」
アーモリーワンで強奪された三機のMSの内、アビスはが搭乗する予定だった。
返してー返してー。グチグチブチブチ。
何処にいったのか分からない敵に、返せー。と文句をたれながら食事をしていると・・・
「、この席は空いているか?」
顔を上げると、レイがの右隣の席を示しながら微笑んでいた。
座っても?と。
は一瞬固まった後、笑顔で答えた。
「レイ。やだっ、いつの間に?気づかなかった…あ、座って座ってv空いてるから」
席を勧める。今まで考えていた事が、どうでもよくはないが、どうでもよくなる。
軍人とはいえ、も年頃の女の子。素敵な異性が隣にいるのに敵の事など・・・後だ後。
コンディションレッドが発令されたら考えよう。
今は逃げた敵よりも、隣のレイ・ザ・バレル。
"レイの髪、触ってみたいな〜"
が色々考え見とれていると、視線に気づいたレイ、「何かついているのか?」と微笑みのサービス。
「えっ?な、何もっ、うん、何もついてないし、なんでもないっ///」
慌てて答え、視線を逸らす。
いつもクールな美少年が微笑んでくれた。二回も。
乙女殺しのレイ・ザ・スマイル。照れてしまう。
"どうしようっ。私、顔、赤くなっちゃったりとかしてるのかな"
自分の頬をペタペタ触ったりして、ワタワタ。
レイはワタワタしているを見て、小動物みたいだ。と思う。
"抱きかかえながら昼寝したら…気持ちが良いだろうな"
を見つめ考えていると、、、
「っ。はぁ〜、良かった。まだ食べ終わってなくて。俺も一緒にイイだろ?」
突然シン・アスカ登場。
席は空いているか?とか、座ってもいいか?とか、月は出ているか?などは一切聞かず、ストンとの向かいの席に腰を下ろす。
空いているのは見れば分かる。座ってもいいか?なんて聞かなくても、はいいと言うに決まっている。月は出ているか?は作品が違う。
レイが少しムッとした顔を見せるも、お構いなしなシン。
インパルスの乗り心地などを話しての気を引いている。
・・・・・。
シンに押されている。
レイは、このままでは…どうする…と考え、テーブルに視線を落とした。
デザートのケーキが目に入る。イチゴがちょこんと乗った乙女なケーキ。
・・・・・。
自分の記憶が確かなら、はイチゴ好き。
・・・・・!!
何か考え付いたらしい。
"シンの話が長くなるとは考えられない。携帯ばかり見て蹲っている男だ…すぐに話は途切れる"
涼しい顔で紅茶を口にしながら、酷いことを考えているレイ。
数分後・・・シンが話しに詰まってきた。
ネタ切れな様子。
"このままじゃレイに割り込まれるっ"
焦ったシンは、話の流れなどを無視し、「あ、そうだ!果物、何が好き?」とに質問。
した後に後悔。何聞いてんだよ…と。
シンは半分落ち込んだが、の「んーと、ねー」という声で復活。
何が好きなんだろう?
ワクワクしながら答えを待っていると―――
「イチゴ、だったと思うのだが…どうかな?」
「「「議長!!」」」
最高評議会議長、ギルバート・デュランダル登場。
三人は立ち上がり、ニコニコしながら近づいてくるギルバートに敬礼。
お一人ですか?艦長達は?など、色々と聞きたいのだが、簡単に声などかけられない。
どうしよう?
固まっていると、困っている三人の心を感じ取ったのか、ギルバートは苦笑しながら言葉を発した。
「突然割り込むのはどうかと思ったのだが、楽しそうだったのでついね。良かったら私も仲間に入れてもらえないかな?」
シンは無礼にもムスッとしたまま答えない。
邪魔者が増えた。と思っているから。
はどう答えていいか分からず、レイをチラ見。
頼みの綱、レイは・・・
"ギルも狙いだ…"
内心、邪魔だな。とか思いつつ、笑顔で答える。
喜んでお迎えいたします、と。
心にもない事を笑顔で言えるようになったのはいつからか?
レイにとってギルバートは大切な人間だが、が絡む事では別。
他の男より少し手ごわい恋のライバルだ。
"ギル…何とか追い払えないだろうか"
譲れない。譲るつもりはない。心底惚れた女。
ギルバート、レイの心内に気づいているのかいないのか、「ありがとう」などと言いながらの横、空いていた左隣の席に座ってご機嫌。
レイもシンも面白くないと思っているが、黙っているしかない。
「仲間に入れてもらえて嬉しいよ。ああ、、先ほどの答えだ…」
「はいっ、イチゴです!あっ…」
ギルバートの言葉が終わらない内、は返事をしてしまった。
緊張しすぎて失敗。
「ごめっ、ちがっ、あ、いえっ、あの、そのっ…」
失礼をお詫びしなければ!という思いが先に出て、落ち着くのを忘れていた。
頭の中はパニック。
しっかりと話すことが出来ない。
"あ゛ーっ、議長の前で醜態をさらして…もう駄目!"
終わった。
きっと赤から緑に降格で、パイロットから雑用に・・・最悪、除隊かも。
泣きそうな顔でいると、ギルバートが紅茶を差し出してくれた。
「、そんなに泣きそうな顔をすることはない。大丈夫だ。さぁ、これを飲んで落ち着いて」
言いながらの背を優しくなでる。
勝者の笑みをレイに向かって浮かべながら。
ギルバート、シンはライバルと思っていないもよう。
"…ギルっ…"
レイはグッとスプーンを握り締め、ふるふると震える。
"無理やりだが…"
もっと自然な流れでやりたかったが、仕方がない。
レイはケーキのイチゴをスプーンに乗せると、トントンとの肩を軽く叩いた。
が、何?とカップをテーブルに置き、見ると・・・
「あーん」
レイが「あーん」などと言いながら微笑んでいた。
あーん・・・あーん・・・口を開けろということ。
恥ずかしい!
でも・・・
少し悩んだが、は言われた通りにすることに。
「んー…」
ドキドキしながら可愛らしく口を開けると、そっと冷たい物を口の中に入れられた。
「んぅっ…んん〜っ」
冷たい物・・・よく冷えたイチゴ。
モグっと咀嚼すれば、甘酸っぱい味が口の中に広がる。
美味美味。
美少年に食べさせてもらったイチゴは格別・・・なんて、ノホンと考えられるわけがない。
もぐもぐしながら、は真っ赤になって下を向いてしまう。
なんとなく覚悟は出来ていたのだけれど・・・やっぱり恥ずかしい。
嬉しいけれど、恥ずかしい。
レイは、どうだ。と言わんばかりの得意気な顔でギルバートを見る。
恋人同士のような事を目の前でしたのだ。これでギルは引いてくれるだろう。
そう思って得意気な顔をしたのだが、ギルバートは引くどころか妖しい笑みを浮かべた。
"っ?"
何だ?まさか真似をする気ではないだろうし…。
何だというのか、何を企んでいるのか。
思案顔のレイ。
ギルバートは・・・
レイの視線を気にすることなく、ごく自然な仕草での両頬を両手で包み込むと、そっと自分の方を向かせた。
そして・・・
「クリームが付いている」
一言発した後、の唇の端に付いたクリームを親指で拭い、ペロリ。
「っ!ぎ、議ちょっ///」
はこれ以上は無理だというくらい赤面し、イチゴを食べさせられた時よりももっと下を向いてしまった。
恥ずかしがるな!と命令されても、多分聞けない。
ひたすら下を向き、恥ずかしさに震えている。
ギルバートはそんなの髪を撫で、ふっ。と微笑む。
への愛と、レイへの挑発が込められた笑み。
"くっ…"
レイは唇を噛んでくやしそうにしている。
シンは虚ろな瞳で黙って座っている。
男達の戦いは始まったばかり。
お疲れ様でした。
初の種運命ドリーム*><* レイとギルっ*><*
甘いお話を目指したのですが・・・駄目でしたTAT
どうしたら甘い話が書けるのだろう・・・なんとか書けるようになりたい!
それでは、ありがとうございましたっ。
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