Holy night




12/24・・・

「We wish you a merry Christmas♪♪」
ドミニオンの艦内に元気な歌声が響いている。歌っているのは。主にMS整備を担当している女性整備士だ。
最近戦闘がまったくないため、出番がなく暇で仕方ない。
「はぁ〜・・・今日はクリスマスイヴなのになぁ・・・ジングルベル・・・」
クリスマスも戦艦内で仕事・・・寂しいなぁ。とが思っていると、
「今日もは元気でいいですねぇv」
と、頭上からアズラエル理事がとってもねちっこい声で話し掛けてきた。
は、理事ってばどっからわいて出た?などと思いながらも、
「アズラエル理事!お疲れ様ですっ」
ビシっと敬礼し、ニコリと笑顔を作った。

実はアズラエル、暇さえあればを探し出し、少し離れた場所から生暖かい視線を送っている。
誰も気づいていないが、いつも見ているのだ。

さて、思わず抱きつきたくなるほどの極上の笑顔を向けられたアズラエルは・・・
「(!///vvvっっvあ゛あ゛っ、可愛いっ!今夜2人でベッドで僕とジングルベルっvv)」
暴走寸前。
ぐにゃ〜っと顔を歪め、ふふふっと体を揺らしているアズラエル。ちょっと不気味。
怖すぎる。嫌すぎる。一秒だって側にいたくない!
そう思ったは、適当なことを言って逃げることにした。
「あ、アズラエル理事・・・あのっ・・・私、やらなければならない事を思い出したので、し、失礼します」
慌しく敬礼し、その場を走り去る。
後に残された理事は、
「あ゛っ!!?・・・ふふっ、照れ屋さんですねぇv」
とても前向きに考えていた。



廊下

「う〜、気味悪かったよ〜。艦長は凄いなぁ〜あの人といつもブリッジにいるなんてさ・・・」
下を向き、ブツブツと独り言を発しながら移動していると・・・

ドンッ!

「おわっ!」
「きゃっ!?」
人にぶつかってしまった。声からして男性。
「すすっ、すみませんっ!」
慌てて謝罪したの目の前にいたのは・・・
「サブナック少尉!」
オルガ・サブナック。カラミティのパイロット。
「あ゛?、っと、かv」
ぶつかった相手がだったため、オルガは怒らなかった。怒るどころか喜んでいた。
に想いを寄せているのはアズラエルだけではないのだ。戦艦内のほとんどの男性は、皆のファンだったりする。
「すみません少尉・・・よそ見していました」
潤んだ瞳でオルガを見上げ、本当に申し訳なさそうに謝罪する
このを見て、「どこみてんだ!」などと言う奴は男じゃない。
「///ああ、気にするな。俺もよそ見してたからな///」
こんな可愛いなんて犯罪だぜっ!と考えているオルガの顔は赤い。
そして、オルガが優しく許してくれたのでホッと胸を撫で下ろしたは、
「ありがとうございます、少尉v」
と、アズラエルを暴走寸前まで追い詰めた笑顔を向けた。

プシュ〜〜・・・

顔全体を朱に染め固まるオルガ。
「っ///(かっ、可愛いすぎだぜくそっ!・・・良い機会だ、言っちまうか?・・・クリスマスだし・・・)」
聖なる夜に告白。いいじゃん!おとせる!と、オルガは頭の中でを自分のものにする瞬間の事を考える。

数分経過

顔を真っ赤にして動かないオルガを見て、は心配になっていた。
どうしたのだろう?まさか具合でも!?と思い、オルガに近づき額に手を伸ばした。
手が額に触れた瞬間・・・
「!!!///」
オルガはさらに赤くなり硬直した。
心の準備さえ出来ていれば大丈夫だったかもしれない。
「(うわっ///ちけー///)」
少しかがめばキスできてしまう。
してしまおうか?いや、でもっ・・・迷っているとオルガの頭の中に、
キスしてしまえ!ものにしろ!という悪魔と、駄目だ!急にそんな事をしたら嫌われるぞ!物事には順序が!という天使が現れた。
頭の中で悪魔と天使が交互に叫ぶ。
「(ううっ、どうしたらいいんだよ俺はっ)」
本音はしたい!でもそれで嫌われたら・・・悶えるオルガ。
一方、オルガが頭の中で格闘しているなど知らないは、
「熱は〜〜平熱みたいですね。でも少尉真っ赤だし、医務室に行きましょう!」
と言い出した。オルガが赤くなり固まっているのは、病気か何かだ!と思ったらしい。
早く医務室へ行って診てもらわないと!と、焦る。オルガの腕を両腕で抱えグイグイ引っ張る。
引っ張られているオルガは・・・
「(すっげー幸せ〜///っつーか、胸当ってるvやわらけ〜///)」
密着状態に、年相応の男性の感想を抱いている。
ずっとこのままでいたい!と幸せに浸っていると、

「テメェェーー!!何にくっ付いてんだよオルガっ!」

叫びと共に、強烈な蹴りがオルガの腰に叩き込まれた。
この行動、こんなことをするのは彼だけ。
「クロト、てめぇ!」
幸せに浸っていたのを一瞬でぶち壊されたオルガは怒りの形相でクロトに掴みかかり絞め上げる。
宙に浮いたクロトは苦しがりながらも、
「おっ、お前がっ、悪いんだよオルガ!、にっ、近づ、く奴は、抹っ殺!」
ゲーム機でオルガの頭をガスガス殴りつける。
「あのっ、あのっ、」
困る。止めたくても止められない。
と、そこへ、
、やっと見つけた」
「え?あ、アンドラス少尉っ」
背後からシャニ登場。
は、丁度いい!アンドラス少尉ならこの揉め事を止めてくれる!と思い、
「あのっ、助けてくださいっ。サブナック少尉とブエル少尉が突然揉め出して・・・」
シャニに助けを求めた。
が、
「へぇ〜・・・ほっときなよ」
という返事が返ってきた。
シャニにしてみれば、オルガ&クロトなどどうでもいい。そのまま喧嘩してろ。とさえ思っている。
そうすれば、うざい思いをせずにを連れて行ける。二人きりになれる密室に・・・
「ねぇ、こいつらほっといてさ、俺のフォビドゥン見てよ」
と、シャニはの手を握り、「早く、こっち」と引っ張る。
でもっ・・・とは気にして言ったが、シャニの強引さに勝てずにその場を離れた。


フォビドゥンの前

「モニター調子悪い。見て」
と、シャニはに言った。
「はいっ!」
命に関わること、早く直さないと!は気合を入れコクピットに入り込み座った。
同時に、シャニもコクピット内に入り込んできた。
「!アンドラス少尉!?///」
狭いコクピット内。当然体が密着してしまう。
「はっ」
シャニはニヤっと笑い、入り口を閉めた。
「///ああっ、あのっ、これではそのっ、どこが悪いとか見れない・・・///」
真っ赤になり戸惑う
シャニは暗い感じはするものの、中々の美形だ。そんなシャニの顔が目の前にある。吐息も感じられる。
しかも完全密室密着状態。冷静にというのは無理。
シャニは、どうしよ〜と戸惑っているの頬を優しく撫で、
「モニター、調子悪いって嘘。ホントは二人になりたかったから連れてきた」
と告げた。
「えっあの、あのっ、」
上手く言葉が出てこないの耳元でシャニは囁く・・・
「俺、のこと好き。誰にも渡さないよ?」
と。

「!!!!!っ/////」

突然の告白。気絶寸前。硬直したまま動かない。否、動けない。
真っ赤な顔で黙ったままのにシャニは、
、俺のこと嫌い?付き合いたくない?」
と聞いた。自分を拒否する答えは返ってこないと思っていたが、聞きたい。
少し意地悪だ。
聞かれたは俯き震えながら、「き、嫌いじゃな、いです。付き合い、たい・・・///」と、消えそうな声で答えた。
答えに満足なシャニ。
の顔を覗き込み軽く口付け、「最高のクリスマスだね」
そう言い優しくを抱きしめたシャニは、神っているのかも・・・と初めて思った。
こんなふうに思えるのは、愛しい人を手に入れたから?
憎み争い命を奪う・・・罪深き行いをしている自分達はいつか裁かれる。
でも、審判のくだる日まではどうか一緒にいさせてほしい。
シャニは無意識にそう祈った。


聖夜の魔法かもしれない。
素直になれる魔法。



















お疲れ様でした〜。
時間かかったわりには微妙な出来(汗)修行が足りーん!と叱られそうです。
と、こんな感じの作品ですが、クリスマスページで期間限定フリー配布だったりしますので、宜しければどうぞお持ち帰り下さい。
それでは、読んで下さってありがとうございましたっ!



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