地球上の、とある高級住宅が並ぶ地区・・・
ここに世界一危険な兄妹の邸宅がある。
兄の名は、ムルタ・アズラエル。軍需産業連合理事&ブルーコスモス盟主という肩書きを持つ。
妹の名は、・アズラエル。おしとやかで肩書きも特にないが、兄と同じく根っからのブルーコスモス。
これは、そんな二人のお話。







Important...





カツン・・・コツン・・・


広い廊下に響く軽快な靴音。
「らららんら〜らら」
嬢はご機嫌な様子で歩く。
これから庭でティータイム。久しぶりに帰ってきた兄と一緒。鼻歌だって歌いたくなる。
「お兄様とティータイム〜ですわ」
るんるんっ。といった感じで歩いていると、普段は遠く感じられる庭にもあっという間に着く。

「お兄様ぁ〜」

と呼ぶが・・・兄、ムルタはまだ来ていなかった。
「あらぁ?ムルタお兄様はまだいらっしゃっていませんの?仕方ありませんわねぇ」
久しぶりですのに・・・。と、少し頬を膨らませ、は席に着く。
迎えに行こうと思ったが、入れ違いになっては困る。
大人しく待つことにしよう。


五分後・・・


っ、遅れてすみません。宙の化け物の事で相談されてしまいましてね」
兄、ムルタ・アズラエル、言い訳をしながら登場。
部屋を出ようとしたところに、サザーランド大佐からコーディネイターのことで電話がかかってきたと。
「まぁ・・・」
兄の言葉を聞いたは怒るでもなく、
「それでは仕方ありませんわね。わたくしとお兄様のティータイムを邪魔する宙の化け物・・・早くやっつけていただかなくては」
ニッコリ微笑み紅茶を淹れだした。
遅刻の理由が他の事ならばむくれたかもしれない。
が、理由はコーディネイター関係。仕方がない。


は基本的に優しい。
人を傷つけることなどしない。
では何故コーディネイターを化け物呼ばわりし、滅ぼしてしまえ。と言うのか・・・答えは簡単。
そういう教育しか受けていないから。
奴らは人間ではない。化け物なのだ。奴らがいるから皆が不幸になる。という教育しか。
周りの者も皆ブルーコスモスを支持している。友人も。
これでは疑問など持てたものではない。


「ムルタお兄様、このクッキー、お兄様のためだけに焼きましたのよ」
にっこりと微笑み、は兄の前にカチャリと紅茶を差し出す。
クッキーと一緒に召し上がって下さいな。と。
「ありがとう。のクッキーなんて、何ヶ月ぶりかな?まったく、あいつ等が早く消えてくれればもっと頻繁に食べられるのに」
ムルタはクッキーを一つまみし、ブルーコスモス全開な発言をする。
も紅茶を一口した後に、まったくですわ。と頷く。そして、
「わたくし、もっとお兄様にクッキーを焼いてさしあげたいです。いつも・・・わたくし一人で・・・寂しいです」
と言って俯いた。


戦争が激化すればするほど、兄は屋敷に帰らなくなる。
忙しすぎて帰って来れない。
今日みたいな日は本当にまれで・・・


兄は地球の、人類皆のため仕事をしているのだ。誇らしい。
でも・・・


「寂しいんです・・・」
我侭な子供のようだと思うけど、どうしても。
寂しい。この言葉は兄を困らせてしまうだけと分かっていても・・・寂しくて。一緒にいたくて。
俯いたままでいると、暖かい感触と頭上からの「困りましたね」の声が。
いつの間に立ち上がったのだろう?
ムルタは背後から座っているを優しく包み込んでいる。
「お兄様・・・」
はムルタの腕にそっと触れてみた。


暖かい。
大好きな兄の腕。安心する。


きゅっとムルタの腕に絡みつく
そんなにムルタは言う。
「もう少しだけ我慢してくださいね?大丈夫、すぐ終わりますよ。僕が直に宙に上がってやっつけてきますから」
と。

もうすぐ終わる。終わらせる。
そして、自然を取り戻したこの世界で、と共に生きる。

「すぐに戻って来ます。それまで、良い子にしてるんですよ?」
ムルタが微笑みながら言うと、
「はい、お兄様」
も微笑み返事を返した。
愛しい妹の微笑みを見たムルタは、包み込んでいる腕に少し力を込める。
も答えるようにきゅうっとムルタの腕に抱きつく。
そして、祈る。


好きなだけこうしていられる日が早く訪れますように。










お疲れ様でした。このお話はここまでです。
アズラエルドリームv
キリ、50000番を踏んでくださった白鳥様へ捧げさせていただきます。
やたら時間かかってすみませんでしたTT
やっと微甘エンドにできました^^;書き直しても書き直してもヒロインが・・・の時はどうしようかと><
あまり、というか全然リクエスト通りではない気もしているのですがTTお許しをっ。
それでは、読んで下さってありがとうございました。



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