チョコクレロ
2/13日・ドミニオン食堂
「明日はぜぇーったい僕の勝ちだからね!」
「・・・何か言ってる」
「馬鹿か。数じゃねーんだよ数じゃ」
何やら揉めているオルガ・シャニ・クロト。
「一つのチョコに込められた愛が大事なんだよ、愛が!シャニとクロトには分かんねーだろうけどな」
どうやらバレンタインのチョコの話らしい。
「・・・誰も数の話なんてしてないのに」
「色んな意味で僕の勝ちだって言ってんだよヴァーカ!」
「あ゛ぁっ!?やんのかテメェ!」
やっぱり喧嘩になってしまう。この三人が普通に話し合えるわけがない。
たかがチョコレート、されどチョコレート。
「もてないからって怒るなオルガ!」
「義理しか貰えねーお前が言うんじゃねーよっ!」
オルガとクロトは互いの胸倉を掴みあい、いまにも殴りあいをしそうな感じだ。
「・・・二人とも馬鹿じゃん。貰って意味があるのはのチョコだけ・・・」
すぐに熱くなる二人を冷めた目で見ながら呟くシャニ。
・・・美人というより可愛いというタイプで、守ってあげたい感じが人気のドミニオン軍医。
艦の男性誰もがを狙っている。
もちろん、三人も。
「こっ、今年は本命を貰うよ!の!」
「寝ぼけてんな!は俺が貰うんだ!」
「お前らなんかに渡すかよ!」
貰うの言葉に反応したシャニも加わり、ますます激化する争い。
と、そこへ問題のがやってきた。
「あっ!また喧嘩してる〜駄目じゃない、仲良くしないと」
まったくもー!という顔をしている。
争いの原因が自分のチョコだということに気付いていない。
で、咎められた三人、
「あ、こ、これはねっ、オルガが・・・」
「なっ、俺のせいかよ!?違うんだ、クロトが突っかかってきて・・・」
「俺、止めようとしてたんだ・・・」
人のせいにしてポイントを下げないように必死になっている。
今朝、は義理チョコは配らないらしいと、整備の連中が話しているのを聞いていた。
ということは、本命だけということ。本命が欲しい!本命になりたい!
ここでポイントを下げるわけにはいかないのだ。上げなければ!オルガもシャニもクロトも気合を入れる。
が、
「じゃれあって遊ぶのもいいけど、怪我しないでね?喧嘩で怪我して医務室来たりしたら、いった〜い注射しちゃうからっ」
と、ぱちっvと可愛いウインクをしては食堂を出て行ってしまった。
何か忙しそう。
愛しい女性が去った後の三人は・・・
「・・・行っちゃった・・・」
「になら注射されてもいいな〜///」
「医務室行きて〜///」
出入り口を見つめ、恋する男の微笑みを浮かべていた。
は自分のものになると信じて・・・。
医務室
「さて、明日の準備しなきゃっv貰ってくれるかな・・・」
軍医から恋する乙女に変わった。ゴソゴソと机の引き出しから必要な物を取り出す。
どでかいボールチョコ・彫刻刀・ラッピングセット
「愛を込めて作らなきゃv」
彫刻刀を握り締め、ありったけの愛を込めてチョコの加工をしだす。
ゴリッ、ゴリッ、ガリガリガリ・・・
ときおり「ふふっv」と嬉しそうに笑いながら、せっせとチョコを彫る。
どんなチョコが出来上がるのか?誰に渡すのか?
2/14・バレンタイン当日
オルガ
「ドキドキすんな〜何て言って受け取ろうか?」
もう自分がの本命だと思っているオルガ。来る前に行く!と決め、医務室へ向かう。
「抱きしめてキスしてそれから・・・」
どこまでも気が早い男です。
色々と妄想していると、あっという間に医務室へ着いた。
よし!と気合を入れ中に入る。
「!・・・ってあれ?」
いない。部屋のどこにもはいない。
「・・・なんだよ、そんなに俺のこと・・・可愛いな〜v」
プラス思考なオルガは愛しのを探しに部屋を出た。
シャニ
「・・・・・」
いつも通り音楽を聴きながら艦内をうろついている。
ただフラフラと歩いているだけのように見えるが、違う。を探しているのだ。
自然な流れで告白とチョコを受け取りたいと考えたシャニ。
自然な流れ=通路。ということで、を探しながらうろついている。
クロト
「何処ーっ?」
目が痛いという口実を持って医務室を訪れたクロトだが、室内にの姿がなかったので艦内をうろつき探している。
「何処行っちゃったんだろ?僕にチョコ渡すの恥ずかしいのかな?」
やっぱり自分が本命だと思っている様子。
「何処ーっ?」
と、通路を曲がったとたん・・・ドンッ・・・
「おわっ!」
「なっ!?」
人にぶつかってしまった。相手は・・・
「てめっ、クロト!どこ見てんだよ!」
オルガだ。
「お前こそどこに目ぇつけてんだよっ!」
会えば必ずといっていいほど喧嘩になるこの二人。どうにもならない。
互いに掴みかかったとき、
「うざっ・・・どいてくれない?」
シャニ登場。三人揃った。通路の真ん中で睨みあう三人。
睨みあうこと約3分
沈黙の争いに我慢できなくなったオルガが口を開こうとしたその時、
「あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
クロトが大声で叫んだ。
「うっせーよ!この馬鹿!」
「!?うざいっクロトうざい!」
突然の叫びに驚き怒るオルガ&シャニ。
が、クロトはかまわず叫び言った。
「ーーっ!何か抱えたがアズラエルの部屋に入った!!」
クロトの言葉に「マジかよ・・・」と、呆然とするオルガ。
「何で・・・何でアズラエル?」と震えるシャニ。
「・・・僕の・・・」
泣きそうになるクロト。
若い三人の恋は散った。
「っ・・・っそー!」
「う゛あ゛ぁぁぁ〜っ!」
「僕のっ、僕のなのにーっ!」
三人は叫びながら猛ダッシュで自室へ帰っていった。
アズラエル相手ではどうにもならない。諦めるしかない。
そしてアズラエルの部屋
「あのっアズラエル理事、これ、受け取って下さいっ///」
昨日、愛を込めて作り上げたチョコレートをアズラエルに差し出す。
受け取ってもらえるのか・・・ドキドキが激しくて少し苦しい。
「ん〜・・・嬉しいんですけどねぇ・・・」
言葉を途中で切り、を見つめるアズラエル。
拒否されてしまうのか?やはり軍医ふぜいでは駄目なのか?不安げな。
俯いていると、アズラエルが目の前に来た。
「僕が欲しいのはチョコレートじゃないんですよ?分かりませんか?」
アズラエルは少し意地悪そうに微笑み、の顔を覗き込む。
「っ!理事っ、あのっ、あのっ///」
憧れの男性からの遠まわしな告白に、赤面しどもる。
チョコを受け取って貰えるだけで良かったのに、まさか・・・
「可愛いですね、はvああ、チョコレートは後でいただきますよ?でも、今は貴女の唇がいい。ずっと想っていた貴女の唇が」
アズラエルはグイっとを抱き寄せ、柔らかい唇に優しくキスを落とした。
「っ///」
耳まで真っ赤にし、瞳を潤ませる。
何ともいえない顔を見たアズラエルはクスッと微笑み、
「いけませんねぇ、そんな顔しちゃ。僕の理性、飛んでしまいます。まぁ、貴女は僕のものですから問題ありませんけどね」
などと言いながら、を姫抱きしベッドへと足を向ける。
「りりっ、理事!///」
「その理事ってのは止めてください。、僕は貴女の前ではただの男でいたい。言ってること、分かりますよね?」
「///ム、ムルタ・・・///」
「そう。良い子ですね、vたっぷり御褒美をあげないとv」
大人の甘い時間は誰にも邪魔できない。
おまけ
「あ〜、?このチョコの形、もしか・・しなくても僕、ですよね?」
「うんっvちゃんとムルタの形してるでしょ?」
「とても綺麗にできてますね〜vもったいない気もしますが、いただきますよv」
「ねっ、美味しい?ムルタ?」
「ほろ苦くて僕好みの味ですv美味しいですよv」
「良かったv」
「ホワイトデー、期待してて下さいねv」
「「「見せ付けるな!げきめーつっ!!」」」byオルガ&シャニ&クロト
お疲れ様でした。
バレンタインドリームはアズラエル理事v
理事ってば、ちとエロい。
私が書くと変人かエロ人になってしまうのが悲しい。
・・・それもまた理事!って事でお許し下さいっ。
それでは、ありがとうございました〜
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