地球軍からXシリーズを奪取して間もないある日、一人の少女があるお願いを引っさげヴェサリウスからガモフへとやって来た。





Duel・G





「お疲れ様ですっ!」
少女はジンのコックピットから飛び出ると整備兵に軽く挨拶をし、急いだ様子で艦内部へと去っていった。
挨拶を返す間もなかった整備兵達は、「姫は相変わらず元気だな」と笑い、また与えられた仕事に集中しだした。
姫と呼ばれたこの少女の名は、アンナ。クルーゼ隊唯一の女性MSパイロットだ。
アスランの幼馴染でザラ委員長にも可愛がられているを皆、「姫」と呼んでいる。
その「姫」がガモフへ来た目的は・・・


「イザーク部屋にいるかな〜」
ドキドキと不安が入り混じった独り言を発する。イザークに用があるのだ。
絶対に聞いてもらわねば!急げ急げ。途中迷いそうになったが記憶を頼りに進む。
いくつかの角を曲がったとき、イザークの部屋が近いということが分かる張り紙を発見した。


『うるさい!静かにしろ腰抜け!』


張り紙を見たは、イザーク、ストレス溜まってるな。と思った。
イザークの部屋は人通りの多い通路の前にある。
皆、話していたり急いでいたりでうるさく部屋の前を通っていくのだろう。
張り紙から怒りがにじみでている。
不機嫌でなきゃいいけど・・・は少しビクビクしながらイザークの部屋の前に立った。
そして一呼吸後、
「イザークー?いるー?私、。ちょっとお願いがあって・・・」
クルーゼ隊一の癇癪持ちにドア越しに話し掛けた。
すると少しの間を置き、「入れ」という短い返事が返ってきた。
声から思うに怒ってはいないようだ。少しホッとして部屋に入る。と、
「お願いとは一体なんだ?」
部屋に入るなりイザークはお願いの中身を聞いてきた。
特に忙しいわけではないのだが、さっさとすませたいらしい。
何分も二人きりではきっと自分は想いを抑えきれなくなる・・・そうイザークは思っているのだ。
さて、イザークの心内など知らない、パッチリとした可愛らしい瞳を潤ませ「お願い!」のポーズをとると、
「イザーク、あのね、あのねっ・・・デュエルが欲しいのvちょーだい!」
「はっ!?」と言ってしまいそうな事を言い放った。


突然何なんだ?
デュエルが欲しい?デュエルが欲しいと言ったのか?
俺の聞き間違いでは?


「なっ・・・何を言っているんだお前はっ!」
半分混乱した頭で必死に言葉を選ぶイザーク。
「ちょーだい」と言われて「どーぞ」と差し出せるものではない。
だが、は引かない。
「お願いっ!デュエルが欲しいのっ!」
イザークとの距離を詰めお願いする。デュエルを譲ってくれと。


デュエルを譲る―――?
そんなこと俺の一存で決められるか!


目の前で必死に「お願いっ」と言っているを、イザークはただ困った瞳で見ることしかできない。
思えばクルーゼ隊入隊直後からやたらと自分に絡んできていた
初めは「うっとうしい」そう思っていたのだが、いつ頃からだったか?気になって仕方がなくなったのは。
気づけば姿を探していて・・・と、今はそれどころではない。
イザークは頭をフルフル!と振り、「何故お前はデュエルを欲しがる?」と聞いてみた。
人のものを欲しがるなんてことはしない女だった。それが何故?おかしい。

何故欲しがる・・・この質問には少し困った。答えを用意してくるのを忘れてしまったのだ。
何て答えたら良いのだろう?まさか、
「貴方の身が心配だから、貴方に何かあったら自分はどうしていいのか分からないから。だから自分が乗る」
なんて言えない。
そう。はイザークが好きなのだ。
入隊直後は何だかすぐにムキになるのが面白くて遊んでいた感じだったのに。
気づけば暇さえあれば側に行くようになって・・・と、それより何か言わなきゃっ。
はホッペをポリポリとかく仕草をしながら、
「あのっ・・・ん・・・そのー、何ていうかなぁ?ジンじゃ物足りなくってv」
適当な理由を伝えた。
が、こんな適当な理由で騙されるイザークではない。
「本当か?それは」
腕を組み、本当のことを言えとに迫ってきた。
逃げられそうにない。本当のことを言うしかないかも・・・は覚悟を決めた。
「・・・ホントはね、イザークにデュエル乗ってほしくなくて。
だって、危険じゃないっ?イザークいなくなっちゃったら私・・・だから私がって」
そう言って少し俯き、上目遣いでイザークを見る。
突然の告白を受けたイザーク、目を見開いたまま数秒固まっていたが、
「ばっ!馬鹿かお前は!///危険だと言うならお前も同じだろうが!」
真っ赤になりながら怒鳴った。
「まったく///余計なお世話だな!俺が落とされるとでも言うのか?赤を着るエリートだぞ俺は!ナチュラルなどには負けん!」
の気持ちを嬉しく思いながらも素直になれないイザーク。せっかく両思いだというのにもったいない。
して、怒鳴られた
「ごめんね・・・そ、だよねっ。イザーク、アスラン来るまでトップだったんだもんねっ!」
少し落ち込み気味だが、笑顔を作ってイザークは強いものね!と言った。
笑顔を向けられ、ふんっ///と照れながら鼻で笑うイザーク。
アスランが来るまで。というのが引っかかったが、今日は何も言わない。
ただ、
「まっ、デュエルをくれてやる事は出来ないが・・・俺ならくれてやるっ!/////」
と言い放ち、真っ赤な顔でを見た後「用事を思い出した!」と部屋を走り去っていってしまった。
部屋に残された
「・・・今のって・・・告、白?イザークも!?///」
ぷしゅ〜という効果音が聞こえそうなほど真っ赤な顔になっている。
その後は、落ち着きを取り戻したイザークが戻ってくるまで惚けたままだった。




姫と王子の恋物語が始まる。
棘の道を乗り越えて、辿り着くのは楽園?それとも―――?
ただ一つ言えること、それは・・・


どんな場所であっても二人ならやっていける。








END










お待たせしました!35100番ゲット時のリクエスト、イザークドリーム。
完成です!長いことお待たせして申し訳ありませんでした。
何だかちっとも甘くなくてすみません(涙)
ドリームになっていないかもしれませんが、お許しをっ。
それでは、リクエストありがとうございました!



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