ザフト軍のエリート部隊率いるラウ・ル・クルーゼ隊長の妻、
彼女は今、ヴェサリウスに勤務している。
自身が、どうしても夫と一緒の艦がいい!と、パトリック・ザラに頼み込んだ(脅した)のだ。
自分の希望を聞いてくれなければ、昔、酔ってクルーゼ宅に泊まった時にしでかした恥ずかしい話を国民にぶちまける!と。
誰にも知られたくない失態。国民にぶちまけられたら全てが終わる!パトリックは二つ返事でOKを出した。
そんなわけで、現在のヴェサリウスはクルーゼ夫妻の愛の巣と化している。








ホットケーキ







「ラウ〜vv」
足つき追跡を一時中断し、ちょっとした休憩タイムに入って数分後、ブリッジにが現れた。
ああ、また始まるのか・・・と、ラウ以外の者達がため息をついたが、そんなことはおかまいなし。
「どうした?寂しくなったか?」
「んーん。まだ大丈夫vだったんだけど、おやつ作ったから呼びに来たのv」
さっそく夫婦の世界に突入。
兵達がいるというのに、ラウはを大切そうに包み込み頭を撫でている。
ヴェサリウスは戦艦です隊長!と、アデスが涙目で無言の抗議をしているが、ラウは気づかない。いや、気づいているが無視。
すまんな、アデス。と少しだけ思っているものの、妻との時間が大切。
「アデス、私は愛妻の作ってくれたおやつを食べに部屋へ戻る。何かあったら知らせろ。いいな?」
と一方的に言い、の肩を抱きながら背を向けブリッジを去っていった。
上官夫婦の去った後、アデスは胃を抑えつぶやいた。
「ゼルマン、ガモフとヴェサリウスの艦長席、交代してくれ」と。
ストレスタンクはもう一杯だ。



ラウ&の部屋

「今日のおやつはね〜、ホットケーキv初めて作ったのv」
はルンルンvっと鼻歌を歌いながら、ホットケーキと紅茶を夫の前に並べた。
キツネイロに色づいた表面、控えめにかかっているハチミツ、とても美味しそうだ。紅茶の香りも良い。
「たしかにのホットケーキは初めてだ。美味しそうに出来ているな。早速いただこう」
いつの間にか仮面を外したラウ、にっこり微笑んでホットケーキにナイフを入れる。と・・・

「!?」

ホットケーキの中から、ドロリとした生地と思われるものが出てきた。
これは・・・一体?ホットケーキを見つめ、必死に考えるラウ・ル・クルーゼ28歳。
自慢だが、の料理の腕は一級のはず。生なはずはない。
焼けていないなどということは・・・ああ、でも初めて作るものでは・・・いやいや、でもっ・・・
そうだ、きっと何か工夫してあるのだ。そうに違いない。
と、まるで自分に言い聞かせるように頭の中で繰り返す。が、どっからどう見てもホットケーキの生地にしか見えない。
生だ。多分、生だ。どうしようもないくらい生だ。
どうしたものか・・・ラウがナイフとフォークを握ったまま固まっていると、
「ラウ?どうしたの?もしかして、私の作ったホットケーキなんて嫌なの?」
今にも大粒の涙をこぼしそうな瞳でが言った。
いつもならすぐに口に運んでくれるのに、今日は食べてくれない。
ホットケーキは嫌いなのか、それとも・・・もう自分に飽きてしまったのだろうか?
もしや、自分以上に愛しい女でもできたのでは!?
不安はどんどん膨らみ、とんでもない方向に思考を持っていく。
の目に涙が込み上げてくる。
それを見たラウは、
っ、別に嫌というわけでは・・・」
フリーズ解除。
まずい!きっと何か勘違いしている!生まれついての勘がそう告げている。
そう思ったときにはもう遅い。
「っ、ラウ・・・他に女つくったんでしょう!?だからっ、だから私の作ったものなんてっ・・・」
は物凄い勢いで勘違いしていた。
ホットケーキをすぐに食べなかっただけでここまで暴走するとは。これも愛ゆえか。
そんなに私のことを・・・やはり可愛い子だ。妻にして良かった!
ラウも半分暴走しかける。が、そこは大人。気持ちを抑えて優しくを自分に引き寄せ、
、私は君以外に愛している女性はいないのだが?」
と、軽くの唇に口付け、微笑んだ。
すると安心したのか、は落ち着きを取り戻した。
ホッとするラウ。よしよし、と頬を撫で愛しそうに見つめていると、
「・・・ラウ、どうしてホットケーキ食べてくれないの?」
ビクっ!とすることを聞かれた。聞かれるとは思っていたが・・・
正直に答えたほうが良いのか、それとも―――
ラウは少し迷ったが、ここは正直に!と思い、
、実はな、中まで火が通っていなかったのだ。それをどう伝えていいか迷ってしまってね。君を傷つけたくはないからな」
と、固まっていた理由を話した。
それを聞いたは、
「!ごめんなさいラウ!私、失敗作を貴方に食べさせようとしてたのね。当然の反応だったのに、私、勝手に・・・」
どうしよう。という瞳でラウを見る。
そんな妻がたまらなく愛しいと思うラウ。
ふっ。と微笑むと、
「気にすることはない。全て私のことを想ってくれてのことだろう?」
と言っての唇に己の唇を合わせた。
先ほどの触れるだけの口付けとは違う、互いの想いを絡めた口付け。
ここまで来るともう止まらない。
二人は休憩時間が終わるまで抱き合い、互いの想いを確かめ合うことになる。


数十分間の幸せ。
早く戦争など終わらせて、毎日を幸せにすごしたいものだ。
愛しい妻の髪を手に絡ませながら、ラウはそう思った。











おまけ?

半分生だったホットケーキ。
危うく捨てられそうになったが、ラウの「もったいないな」の一言で救われた。
の手により再び焼かれ、ラウのお腹に収まった。
一件落着。













お疲れ様でした。
リクエストいただいたクルーゼ隊長ドリーム、やっと完成です^^
ヒロインは飽きもせずに隊長の愛妻というv
恋人よりも深い仲!
気に入っていただけると良いのですが・・・
それでは、ありがとうございました〜



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