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「これは……なんという失態だ!」





突然ティエリアの怒声が浜辺に響いた。


「なんだなんだ、どうした?」

「どうしたの?ティエリア」

「……(もぐもぐ」

「ティエリア、オコッテル、オコッテル」

「何かあった?」


突然怒りだした仲間を不思議そうに見る一同。
わけが分からない。
そんな目で見ていると、ティエリアは更に声を荒げた。


「焼きすぎだ!万死に値する!」


キッという鋭い視線の先にいるのはアレルヤ。
ティエリアはアレルヤが肉を焼きすぎたことに腹を立てたよう。


「え?ああ、ごめん。でも大丈夫。食べられないレベルじゃない。
(怒るくらいなら自分で火の通り加減を見ればいいのに。まったく、嫌になる)」


まだ食べられる。黒焦げというわけではない。しっかり焼けたという程度。
アレルヤは謝りながら食べられると言うが―――


「だとしても!マリーに焼きすぎて硬くなってしまった肉を食べさせるつもりなのか、君は!?」


愛しい彼女にはもっと柔らかくて美味しい物を食べてもらいたい。
そんな気持ちと自分の好みの問題でティエリアは怒り心頭。


「少し肉が焼けたくらいで怒りなさんな」


ロックオンが飲み物片手に宥めるが、怒りは収まらない。
今にも銃を取り出しそうなこの男を宥められるのはただ一人。


「もうっ、仲良く!私は大丈夫よ?しっかり焼けたお肉も大好きだし」


マリーが「むう」と頬を膨らませて言い、「ねっ?」と軽く微笑めばあら不思議。
君がそう言うのならと、ティエリアは眼鏡を直しながら大人しく引いた。
照れているのか頬が少し染まっている。
流石マリー。


「さーて、仲直りが済んだら続きやるぞー」

「それは俺のイカだ」

「君の名前などどこにも書かれていない」

「こら、そこ、喧嘩をするんじゃない」


刹那が狙っていたイカをティエリアが取ってしまい、火花が散ったのを見てロックオンが止めに入った。
折角収まったのだ、喧嘩をしてくれるな。
年長者なせいかまるで保父さんのよう。
それがなんだか面白くて。


「ふっ、ふふふっ」


マリーは思わず笑ってしまった。
意外と子供っぽい刹那とティエリア。
何かと世話を焼いているロックオン。
何時の間に着けたのか黒いエプロンが結構似合うアレルヤ。
思っていたよりも仲が良いみたいで、見ていると楽しい。


「ふふっ、なんか、面白い」

「そうか?そんな風に笑ってくれると計画した甲斐があったと思えるな」


ロックオンは大人の色気を含んだ声でそう言うと、さり気なくマリーの肩抱いた。
この瞬間を狙って常に隣をキープしていたことは秘密。


「えっ、あのっ……」


自然に抱き寄せられたマリーは恥ずかしさのあまり俯いた。
異性にこんな事をされたのは初めて。
どうしたら良いのか分からずにただ下を向いていたら―――


「あーっ!!」


今度はアレルヤが叫んだ。
突然の大声。
びくっ!となったロックオンは思わず手を退けた。
マリーもびっくりして顔を上げる。
何とか二人の邪魔を出来ないかと険しい顔をしていたティエリアも何事だ?という顔。
そんな皆の視線を受ける中、アレルヤは眉間に皺を寄せて少年を見ていた。


「刹那、それ、もしかして……」

「刹那?」

「刹那がどうかしたの?」

「???」


マリー達が視線をアレルヤが見ている方へ移すと、そこには美味しそうにケーキをパクついている刹那の姿が。
はぐはぐとひたすらケーキを口に運んでいる。


「それは……もしかして?」


もしかしなくてもアレルヤが持って来たケーキ。
マリーの為に持って来たケーキを食べている。


「刹那、それはマリーと……うっ、ぅ……くそ!なに勝手に食ってんだチビガキ!」


アレルヤ、ショックのあまりハレルヤ変化。
後で海を見ながら二人で食べようと思っていたのに。
怒りを露にするハレルヤに、刹那はシレっと火に油を注ぐ台詞を吐く。


「ケーキを食べられたくらいでガタガタ言うな」


イカを食べられたくらいでガタガタ言ったお前が言うな。
そんな風に突っ込む者がいないせいか、口元に生クリームを付けた刹那はジっとハレルヤを睨んだ。
挑発に乗り、テメー殺すぞ!とハレルヤが刹那に掴みかかると―――


「うるさい。アレルヤ・ハプティズム、君はもう部屋に戻った方がいい」


静かに見ていたティエリアがハレルヤに冷たく言い放った。
マリーにライチジュースを手渡しながら。
なんとなく凍てつく空気。
マズイ!
そう思ったマリーは咄嗟に、空気読めよと突っ込まれそうな台詞を口にした。


「えっと、このジュース美味しい~」


とろけるような笑みを浮かべてみる。
すると―


「喜んでもらえて良かった。ライチはマリーに相応しいフルーツだからな」


ティエリアは一瞬にしてハレルヤの存在を忘れ、普段ならあり得ない穏やかな表情でライチの薀蓄を語りだした。
マリーは、「そんなこと知ってるんだ」と思いながら、ウンウン。と頷き話を聞く。
当然、ロックオン、刹那、ハレルヤは面白くない。


「ちっ、ティエリアの奴」

「激辛タレで泣けばいい」

「俺はマリーを独り占めにされて激しくご立腹だ。だからさ、タバスコ一本じゃ済まさねーぞ!!」

「ハバネロ入れろ!」

「ジョロキアもだ」


瞳にドス黒い炎を燃やしながら色々と混ぜ込んでいる。
ティエリアが作った秘伝のタレに。
ガンダムマイスター達の嫉妬は恐ろしい。
ドバドバと容赦なく入れまくる。
そして―――


「よし出来た!」



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二話目、いかがでしたでしょうか*><*
なんだかヒロインさんがあまり絡んでなくて申し訳ない気もするのですが…--;
んー…と悩みながら、失礼しますっ。読んで下さってありがとうございました*><*/



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