「はあっ」


トレミー内、食堂。
フォークで食器をコツコツと突付きながら溜息をついている青年が一人。
食事どころではない様子。


「どうかしたんですか?」


軽く頭を振ってみたりしていたら、声をかけられた。
男の声だ。


「アレルヤ……」

「溜息なんかついて、貴方らしくないですよ?ロックオン」


顔を上げてみて目の前にいたのはアレルヤ。
何時の間に向かいに座ったのだろう。
全く気が付かなかった。


「何度も声をかけたのに返事無し。具合でも悪い?」


パスタを口に運びながら聞くアレルヤ。
話せることなら人に話した方が楽になる。
仲間だし、男同士だし、自分で良ければ聞くつもり。
穏やかな笑みを向けると、ロックオンはポツポツと話し出した。
フォークにパスタを絡ませながら。


「なんていうか、妹がな……」

「妹さん?ああ、僕達の体調を診る為に来るって」

「そう。来るのは嬉しいんだが―――」





白衣の天使





「初めまして、・ストラトスです。この子は助手のハロ。よろしくお願いします」

「ヨロシクナ テンテキイッチョー」


愛想良く挨拶をする少女と黄色いハロ(お腹に黒色の十字マークあり)。
主にガンダムマイスター達の体調を診る為にやって来た。
柔らかく波打つ栗色の髪に、エメラルド色の大きな瞳が愛らしい。
小柄で胸の大きさは控えめだが、かなりの美少女。
白衣も眩しく映る。


「刹那・F・セイエイ」

「ティエリア・アーデだ」

「僕はアレルヤ・ハプティズム。宜しく」

「私はスメラギ・李・ノリエガ。戦術予報士よ」

「私はクリスティナ・シエラ。宜しくね?」

「フェルト・グレイスです」

「よっし、これで全員の紹介が終わったな?まだいるんだが、今は手が離せない。
会った時に挨拶しとけ?」

「うんっ」

「じゃあ、そろそろ皆持ち場に―」

「あ、ちょっといいかな?女性に対して失礼だけど……
、年は刹那と同じくらい?その……」


アレルヤはずっと気になっていたことを切り出した。
はどう見ても刹那と同い年くらいにしか見えない。
十代で医師が出来るのか?そう思っている。


「ふふっ、心配しなくても大丈夫。ねー?ハロ」

「オウ シンパイスルナ マスイウツゾ」


アレルヤの心配を察知したは、ハロを抱えて「大丈夫」と言った。
何故大丈夫なのかという説明は兄に譲る。


「兄の俺が言うのも何だが、は超天才でな。
結構前に医師免許取得済み。大丈夫だ、心配ない。
ただまあ、あまり世話にならないよう健康には気を使おうな?怪我にも注意だぞ?」



何かある!?



ロックオンの言い方に、マイスターズは違和感を覚えた。
特にアレルヤは不安になった。
食堂での会話を思い出してしまって……。





『来るのは嬉しいんだが、あまり世話にはなりたくないんだよな』
『どうして?妹だから?』
『いや……そのうち分かる』





「ルヤ……アレルヤ?」

「えっ?あっ……」


頭の中でグルグルとロックオンとの会話を再生していて聞こえなかった。
が自分を呼ぶ声。


「ごめんね、考え事してたから。何?」


微笑みながら問いかけると、は無言でアレルヤの目の前に立った。
かなり近い距離。
ふわりとシャンプーの良い香りがする。
抱きしめたら温かくて幸せな気持ちになれそうだ。
そんなことを考えていると―――


「ちょっと失礼っ」


突然顔の近くにズイっとハロが差し出された。
何だ?と思う暇なくハロの頭部の両蓋が開き、ニューと出てきた手がアレルヤの頬や額に触れる。


「え?何っ……?」

「じっとしてて。ハロ、どう?」

「アレルヤ ビネツ ビネツ」


アレルヤの頬や額を触っていたハロがに告げた。
微熱がある、と。


「そういえば、今日は少し体が熱いと思って―――」

「やっぱり!医務室へ行きましょう!ね?早く早く」

「ビョウニン ホカク」


そんな大袈裟な。
と、渋るアレルヤの手を強引に引き、はブリーフィングルームを出て行った。


「相変わらずだなー」

「ふふ、仕事熱心な良い子じゃない」





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一気に書き上げられなくて申し訳ないと……TAT
後編、楽しみにして頂けたら幸いです。
それでは、前編を読んで下さってありがとうございました>


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