ナスカ級戦艦ボルテール……時間は午前0時……
キミダケ
「はぁっ…」
ブリッジでの仕事を終えたイザークは溜息をつきながら私室へ向かって歩いている。
今朝から「はぁ。はぁ。」と、もう何回目の溜息か自分でも分からないほどだ。
「ったく…はぁっ」
何故に溜息ばかりついているのかというと、恋人と喧嘩中だから。
自分は隊長、仕事中に私情に囚われていてはいけないと分かってはいるのだが、どうしても。
「イザークなんて大嫌い!もう別れる!」
なんて言われてしまっては…。
過去に付き合った女になら、「勝手にしろ、無理して付き合ってもらいたいとは思わん」などと強気で言えた、思えた。
が、今は…今の恋人には…言えない。
思えない。
心底惚れ、溺れてしまったから。
「はぁっ……くそっ」
こんな調子では隊長失格だ。
ぶつぶつと言いながら私室に入ると…
「!!!」
ベッドの上、シーツが盛り上がっているのが見えた。
誰か寝ている…誰か…きっと…
イザークはツカツカとベッドの横まで歩き、バッとシーツを剥いだ。
シーツの下にいたのは…
「ん……」
柔らかな金色の髪をした少女。
長い睫毛を震わせ、胎児のように丸くなって眠っている。
「……」
喧嘩中の愛しい恋人。
仲直りがしたくて部屋で待っているうち、眠くなって寝てしまったのだろう。
イザークはそっとベッドに腰掛け、の髪を指に絡めた。
フワリと緩く波うつ美しい髪。
愛しくてたまらない…
絡め取った髪に口付けを一つ落とすと……
「ん……イザ?」
瞼をぴくぴくと震わせ、が目を覚ました。
まだ半分夢の中なのだろうか?
ぽけーっとしている。
トロンとした瞳と薄く開かれた唇が妙に扇情的。
「ふん。いい気なものだな?散々心配させておいて」
ずっと、不安だった…
本当に離れてしまうのではないかと…
イザークはの上半身を片腕で器用に起こし、深く深く口付けた。
愛しいと思う気持ちと熱が絡み合う。
「んんぅ…んぅっ」
呼吸をする間もないほどの口付けに苦しくなったは逃れようと身を捩る。
が、ガッチリと頭を抱え込まれていて逃れられない。
ネットリと口内を犯すイザークの舌。
「ぅっイ、ザ…!」
舌を絡ませながらはイザークの白い軍服をぎゅっと強く握った。
すると…
「ん?」
イザークはそっとを少し離し、どうした?と不思議そうな顔を見せた。
嫌だというわけではないようだし、一体?
どうしたんだ?と眉を顰めているイザークの顔を見たは、ムッと頬を膨らませる。
「イザの馬鹿っ。苦しいじゃないっ」
呼吸をする間もないほどの口付け。
嬉しいけれど、苦しい。
イザークの胸に顔を埋め、は「馬鹿馬鹿」と繰り返す。
「な゛っ……」
馬鹿、苦しい。と言われたイザークは困り顔。
苦しいと言われても…
「っ、ば、馬鹿はどっちだ!?苦しいなら呼吸をっ」
「呼吸の間くれなかったじゃないっ」
むー……
両者譲らず、睨み合い。
をしていたのだが……
「ふっ、はははっ」
「ふふふっ、イザの負け」
長くは続かない。
「うるさいっ。次は勝つ」
「無ー理」
二人はベッドの上でじゃれ合い始める。
互いの髪を指に絡ませてみたり、触れるだけの軽い口付けを交わしてみたり。
行為は次第にエスカレートしていって……
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お、遅すぎで申し訳ありませんっ(土下座)
波の激しい奴です(涙)と、言い訳をしながら…失礼します。
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