接触3





帰宅途中の烏道士・・・




「いやいや全く若いというのは・・・おおっ!」
烏、前方に後輩を発見。
劉道士、旅を終えてようやく帰ってきた。
「?ああっ、烏先輩!」
劉も気づき、嬉しそうに烏の側へ小走りでよっていく。
「劉!帰ってきたか」
烏も嬉しそう。
会うのは久しぶりだ。
二人で印を組んで挨拶。
「お久しぶりです。あの、家に何か?」
劉、先輩である烏がわざわざやって来るなんて、何か余程の用があったのでは?と思っている。
烏は、
「うむ、お前の所のキョンシーがどえらい目に遭ったらしくてな、に助けて欲しいと頼まれ来ていたのだ」
と、手短に話した。
すると劉は、「聖が!?、いえ、弟子は大丈夫でしょうかっ?」と、心配そうに烏に詰め寄った。
何か間違ってませんか?という感じ。
だが烏は突っ込むこともなく、「ああ、心配いらんっ。二人ともピンピンしている」と笑う。
先輩の言葉にホッとした劉、
「ご迷惑をおかけしてしまって・・・。いや、わざわざありがとうございました。そうだ、先輩、お茶でも」礼を述べ、烏をお茶に誘う。
が、「あー、かまうな。またの機会でいいっ。早々に帰りたいのだ。弟子がな、私がいないのをいい事に修行をサボっている気がする」
烏はまたの機会にゆっくり。と言い、ではな。と、印を組んで挨拶をすると、スタスタと行ってしまった。
久しぶりに一家(?)が揃うのだ、自分は邪魔。と気を使っているようだ。
「相変わらずだな、先輩は」
烏の後姿を見送り、劉は家を目指す。


皇帝陛下より賜った褒美。これでと聖に土産を買ってきた。
二人とも喜んでくれるといいが・・・。


足取り軽く進み、家の扉の前までくると、中からと男の楽しそうな話し声が聞こえた。
「!!!」
固まる劉。
男・・・男の声!まさか・・・まさか・・・男を連れ込んで?!
劉はフリーズを解き、駄目だ、許さーん!という感じでバターン!と扉を開く。
と、『あっ、道士!』「お師匠様っ!」愛弟子・と、居候キョンシー・聖の姿。


「!!!!!」


劉、再びフリーズ。
聖が!聖が喋ってる?!と、びっくり。
聞こえた男の声は聖の声らしい。吃驚と、勘違いが恥ずかしいで・・・動けない。
ハニワ風の表情で固まっている劉が心配になった、「お、お師匠様?!」と声をかける。
聖も、『道士?大丈夫?』と言いツンツンと腕のあたりを押してみる。
が、反応はない。完全にフリーズ。
と聖は顔を見合わせると、あれしかないか。頷きあい・・・


「おー師匠様ーーーーーーーーーーーっ!!!」
『道ーーー士ーーーーーーーーーーーっ!!!』


耳元で大声で叫ぶ。と、
「っ!!!!!」
フリーズ解除。劉は耳を塞いで数歩、ズササっと下がった。
効いた。やっぱり効いた。前回の強力版、効かないわけがない。
劉は、まったくもー。という顔で、
「耳元でそんなに大きな声を出すんじゃないっ」
やんわり、耳がキンキンするじゃないかっ。とと聖を叱る。
叱られた二人は、だってぇ、ね?と、反省の色なし。
そんな二人を見た劉は、まったく。自分のいない間に随分!と、ちょっと嫉妬。聖の奴、と仲良くっ。なんて思ってしまう。
が、すぐに反省。
「なんて大人気ない・・・」ぼそっと呟き、「ああ、二人に土産を買ってきたぞ」と言ってニッコリ笑った。


お土産っ!!


劉の、「お土産」という言葉に、も聖も瞳をキラキラ輝かせる。
分かりやすい良い子達だ。劉は満足。
と聖に、「さっ、テーブルの上で広げて見てみよう」と言い、久しぶりの我が家へ入る。そして、
聖に「大変なめに遭ったそうだな、大丈夫か?」と聞き、を、「留守をよく守ってくれた」と誉めながら、ガサガサと荷解き。
最初に取り出すのはやはりお土産。
、これはお前にだ」
まずはにお土産を渡す劉。翡翠の髪飾り。
「ぅっわぁ〜綺麗!お師匠様っ・・・ありがとうございます!!」
お土産を貰ったは、早速髪に付け、似合う?似合う?とやっている。やっぱり女の子。
「よく似合う。綺麗だ。ああ、聖、これはお前にだ」
続いて聖にお土産を渡す。聖が貰ったのは・・・
『あ゛ーっ!新しい官衣(キョンシー服)!!うわぁーっ!あちこちに刺繍がっ!道士、ありがとう!』
新しいキョンシー服。今まで他キョンシーのお下がりばかりだったので嬉しい。
聖は大喜びでピョンピョンとキョンシージャンプをしている。



とっても賑やか。
まるで昨日起こった事は全て夢、悪い夢のよう。
ずっとこんなふうに楽しく過ごせたらいいのに。と思うが、そうは中々・・・。


「くっ、あははっ!見つけた、やっと見つけたよ・・・待っていて?愛しい君。すぐに助けてあげるからね―――」


幸せな達を、術をかけた水鏡に映し見ている男が一人。
狂気に濡れた瞳を輝かせ、肩を震わせている。
静かな時はまだ訪れない。





8へ










接触3は、ここまでです。やっと劉道士帰って来ました。長かったっ。
これで彼の出番が・・・。彼が出てくると、彼らも出て来られるわけで・・・。
と、何なんだよ?!な独り言を吐いて、失礼します。ありがとうございました^^



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