「残念なのは貴方ですよ、羅那兄上。
翠龍兄上―――魔王陛下はその娘が玄陰へ立ち入る事を許可なさらなかった。
戻るのならお一人で、です」










再会4










「璃羅!」
『また変なのがっ』
「待って、今、兄上って……兄弟なの?」


この青年、羅那を「兄上」と呼んだことから、直ぐに羅那の弟だと分かった。
が、初めての光景にと聖は驚き固まってしまった。
そんな二人を横目に、兄弟は言い合いを始めた。



「璃羅!お前、兄上に余計なことを言って邪魔をしにきたのか!?」

「失礼な。私は何も申し上げてなどいません。邪魔をしに来た訳でもありません。
私はただ、魔王陛下のお言葉を羅那兄上に伝えに来ただけです。
娘を無理やり玄陰へ入れると問題が起こる。今回は娘が玄陰へ入る事を許可しない。戻るのなら一人で戻れ。というお言葉を」

「何を……人間の娘の一人や二人、たいした問題ではないはずだ!どんな問題が起こるというんだ!?」

「さあ。どんな問題が起こるのか、そこまでは分かりかねます。申し上げたとおり、私は―――」

「肝心なところで役に立たない奴だな、お前は!」

「なっ……!」

「ああっ、翠龍兄上は、魔王陛下は何を隠している!?」

「知りませんよ!私に当たらないで下さい!
……はあっ。羅那兄上、もう問答は終わりです。
娘を諦め一人で戻るか、娘を諦めず人界に留まるか、早急にご決断を。私は羅那兄上のように暇ではありませんから」

「お前っ、誰に向かって物を言っている!?」

「ああ、羅那兄上、少し落ち着いて下さい。一族の品位が損なわれます」

「っ!このガキ!張り倒してやろうか!?」

「力を封印されている今の羅那兄上では私に勝つことなど出来ませんよ」

「くっ……」



羅那は璃羅を張り倒してでもを玄陰へ連れて行きたかったが、力の関係上無理だ。
何より、兄―――魔王の言葉に逆らうことなど出来ない。
大人しく引き下がるしかない。


「……人界に留まるっ」


留まるしかといられる方法はない。
今は諦めるしかない。
羅那はくやしそうに吐き捨てると結界を解いた。


「留まるのですね?分かりました。では、私から魔王陛下に羅那兄上の意をお伝えいたします。では……」


璃羅はそう言うと、チラリと達を見て、再び空間の裂け目から去っていった。
シンと静まり返る室内。
と聖は数拍の後、ハッと我に返った。


『あ、、大丈夫?』
「え、あ、うん」
『良かった。って、そうだ、あいつ!羅那のこと、どうする?玄陰とか魔王の弟とか……色々と危ないと思うんだ』


聖の考えは、羅那は今すぐに追い出した方が良い。
というものだが、居候には他者を追い出す権限はないと思い、遠まわしに勧めたが、
は―――


「分かってる。危ない、けど……。羅那、お師匠様にお願いしてここでしばらく皆と一緒に暮らさない?」
『ちょっ、なにを言ってるんだ!?こいつはを無理やり……危険だ!さっきの事もあるし、こいつは人間じゃないし!』
「分かってる!分かってるけど……」


痛いほど羅那の気持ちが分かってしまうから。
前世の記憶を掘り起こされた今、痛いほどに。
だから。


「ね、聖。大丈夫だから」
『……分かった。がそう言うなら。おい、もうおかしなことするなよ?』
「ああ」


三人の間で話がまとまった。



朝、何があったか知らずに目覚めた劉に、全てを話した上で羅那の留まりを願い出ると、すんなり許可がおりた。
丸く収まったのならそれで良い、ここでよければいつまでもいてくれて構わない、と。
また家族が増えた。



昼―
掃除をしながらと羅那は話をしている。


「本当、驚いたわ。半魔人だったなんて」
「前世では、自分は人間の体を纏った魔人です。なんて言わなかったからな」
「うんうん。それにしても……ちょっと混乱しちゃう。前世の記憶があるなんて。ねえ、何とかならない?」
「それが、何とかしてあげたいけどさ、封印の術はこの体じゃ使えないから、慣れてもらうしかないんだ」
「ちょっ、無責任じゃない!?」
「必死だったんだ、許しておくれよ」


ゴミを纏めながら言葉を交わしていたら―――



「こらー、二人ともー!サボるんじゃなーい!しっかりとやれー!」



「やばっ!お師匠様に叱られちゃった」
「ちっ。俺のに……!」
「文句言わないのっ!それにもう、俺の。じゃないでしょっ!?」



何事も無かったかのように一日が始まった。
聖を除いて。



『ライバル増えたしっ』



棺の中でぶーたれている聖。
ちょっぴり平和が戻った。
かもしれない。





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ちらっと璃羅が登場出来ましたv翠龍は名前だけw
少しばかり長くなりましたが、いかがでしたでしょうか?
次回も楽しみにしていただければ幸いです^^


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