クルーゼ隊、温泉計画6
お帰り。
水族館から帰ってきたクルーゼ隊御一行(アデス除く)。
フロントでキーを受け取り、部屋に向かう。
「夕食まで時間がある。自由に過ごしたまえ」
どこかソワソワした様子でクルーゼが皆に言った。
アデスと従業員が荷物を運んでくれているはず。素早く荷解きし、温泉に・・・と考えているのだ。
皆には内緒にしていたが、実は貸切風呂がある。しかも混浴可。
根回しは既に済んでいる。上手くを・・・
そんな事を考えているうち、部屋に着いた。
「では隊長、後ほど。、また後で」
「さん、また後でお話しましょうねv」
「・・・後で、な」
「はぁ〜男だけの部屋はキツイって。と一緒に寝たい!なんてね」
また後で、と言い、名残惜しそうに部屋に消えていくエースパイロット達。
「また後で・・・」
「」
も微笑み手を振って部屋に入ろうと、した所をクルーゼに止められた。
「は、はい?何でしょう?」
ドキッとする。
「君の為に貸切風呂を借りた。夕食前に入ってきたらどうかね?景色も良いそうだ」
ニッコリと微笑み、自らが下準備した場所へと進める。
「わっ、私の為にそんなっ・・・ありがとうございます!」
本当に嬉しい。どうしてこの上官はここまで自分に良くしてくれるのだろう?
もしかして・・・などと思ってしまう。
ちょっと考え込んでいるに、
「ふっ。では、「また後で」な」
とクスっと笑い、クルーゼは部屋へ入った。
入るなり知人の真似をして、ぃやったあぁー!のポーズを取ったのは秘密。
残されたは・・・
「・・・隊長・・・よしっ、早速行こっ」
鼻歌を歌いながら部屋に入ると、テキパキと荷解きし、タオルなどを取り浴場へと向かった。
そして、ドアにへばりつき様子をうかがっていたクルーゼも、必要な物を手に部屋を出た。
貸切風呂。
パサッ・・・
着ていた服や下着を脱ぎ、綺麗にたたみ、上にバスタオルをかぶせて隠す。
後はタオルを持ち、脱衣場から浴場へ。
「うわーっ綺麗〜〜!それにこれ、一人じゃ広すぎるよ〜贅沢v」
あまりの広さ、綺麗さに感激する。
体を綺麗に洗い、湯船に浸かる。もちろん、タオルは外。
「気持ちいい〜」
極楽〜と、入っていると・・・
カラカラカラッ
誰かが入ってきた。
「!?」
何で、何でっ!?
隊長は貸切だって言ったはず・・・誰ーっ!?
と、かなり不思議に思っていると、湯煙にシルエットが浮かぶ。
かなりの長身。細いが、しっかりとした体つき。
まさか・・・
「た、いちょ?」
まさか・・・でも、この人物しか浮かばない。と思い、声をかけてみた。
すると、
「気に入ってもらえたかな?」
と、良く知っている声。
浴場に入り、近づいてきた人物はやっぱりクルーゼ隊長。
素っ裸の体(腰にタオルは巻いているが)にサングラスという格好。仮面じゃなくて良かった。仮面だったらもう変態。
「たたたたたっ、隊長!なな、何でっ/////」
ザバンっと湯船に体を潜らせ、顔だけを出す。
タオルは外している。下手をすれば見られてしまうのだ。
「ははは、混浴も可能だと聞いてね。私も一緒させてもらおうと思ったのだよ」
さらっと言い、体や髪を洗いにかかるクルーゼ。
(隊長と混浴ーっ///?どうしたらいいんだろ///・・・)
真っ赤になり考える。が、どうにもならない。
ぶくぶく沈みそうになっていると、洗い終わったクルーゼが湯船に向かってきた。
「?・・・ふふっ、恥ずかしいのかな?大丈夫だ、すぐに慣れる」
と、のすぐ隣に入ってきた。
「!!!たいちょっ///」
何故にこんな近くに!?と慌て、とっさに背を向けてしまった。
そんながたまらなく可愛い。
「恥ずかしがることはない。だがその反応、たまらないな」
などと言いながら、腕を伸ばしを抱きかかえる。
「っ!!!隊長!あのっあのっ!や、そのっ///////」
抱きかかえられるとは思っていなかったは、バシャバシャと湯の中で暴れた。
そんな抵抗などお構いなしのクルーゼは、さらにグイっと引き寄せ、耳元で囁く。
「私の君への気持ち、もう気づいているのだろう?」と。
はこの言葉に固まった。
たしかにさっき、もしかして?と思ったが・・・
「///隊長・・・私・・・///」
心臓が破れてしまいそうなくらいドキドキいっている。
体中が熱くて、のぼせて気を失ってしまいそう。
そんなを見て、さすがにヤバイか?と思ったクルーゼは、
「困らせてしまったかな?・・・そうだな・・・
私を受け入れてくれるのならば、皆が寝静まった後に部屋へ来てくれないか?待っている」
と言って腕を放し、先に湯船から上がって出て行った。
後に残された
「・・・どっ、どうしようっ///」
湯船から上がり岩に腰掛けると、朦朧とする頭の中でこの先どうしたらいいのかを考えた。
イザークにも想いを告げられ誘われた。
自分はどうしたらいい?自分の気持ちは?
クルーゼ隊長は・・・ずっと前から憧れていた。指揮官として、彼ほど優秀な男性はいないだろうと思っていた。
そして、あの仮面の下の素顔。きっと美形なはずと思いだして・・・?
イザークは・・・ハッキリ言って、あまり面識がない。
今回、初めてまともに口をきいた。ちょっと無茶でほっとけない感じは前からしていたが・・・
「あ゛ーっん!分からない!どうしよう」
ハッキリしない自分にだんだん腹が立ってくる。
しばらく考え込んだが・・・
「・・・ここにいても仕方ない!ご飯食べてから考えよう!」
と考えるのを一旦止め、髪を洗い、上がることにした。
夕食。
予定通りの時間、皆が食事の席に揃った。
ニコル・アスラン・ディアッカ・イザークの順で座り、向かいにはクルーゼを真ん中にとアデスが座った。
「うわーっ美味しそうですね」
「ロールキャベツもあるんだな」
「へぇ〜庶民的なもんから高級料理まで、幅広いじゃん」
「みっともないぞっ!貴様ら!・・・う、美味そうではあるが・・・」
「中々のものですな」
「美味しそうv」
ズラリと並べられた美味しそうな料理を前に、皆目を輝かせた。
長い間戦艦の中で味気ない食事をしていたのだから、当たり前か。
「諸君らにはいつも無理をさせてしまっているからな。沢山食べてくれたまえ」
とクルーゼが言うと、
「「「「「「ありがとうございます隊長!いただきます!」」」」」」
と全員の声が重なり、それぞれ好きな飲み物を手に取る。
そして、アデスの乾杯で食事が始まった。
アスランのロールキャベツを、イザークがいつぞやの仕返し!と奪い取り険悪になったり、
アデスが酔ってクルーゼの髪を引っ張ったりしながら、楽しい夕食時間はすぎていった。
夕食終了。
「美味しかったです」
「久々に美味い物食べられて満足ですよ」
「そうか、連れて来たかいがあったな」
「俺のキャベツ・・・」
「まだ言うか貴様はっ!」
「喧嘩しないでくださいよっ」
こんな調子で部屋へ帰る途中、賑やかな会話がずっと続いていたが、アデスの一言にクルーゼ以外の皆が凍りついた。
「あははははははっ隊長っ!部屋にゼルマンがいるんですよ〜」
「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
い、今、アデス艦長は何て言った?ゼルマン艦長がいるっ!?
いるはずがない!ゼルマン艦長は・・・ゼルマン艦長は、戦死されたのだから!
動揺する五人に、クルーゼが微笑みながら言った。
「アデスは酔っているのだよ。気にすることはない。戦友の事を思い出しているのだろう」
この言葉に五人は、なんだ・・・と、ホッとした。
だが、酔っているせいではないことをクルーゼは知っている。
この宿泊施設の一室。
そう、アデスが滞在することになった添乗員室は、生前、ゼルマンが好んでちょくちょく宿泊していたのだ。
シャトルの中で言うのを止めたのはこのこと。
今更言っても仕方ない。それに、を怖がらせたくはない。
ということで、このまま黙っていることにした。
大いに語るといい。ヒゲとモミアゲの熱い夜。
色々話しているうちに、部屋に辿り着いた。
「それじゃさん、隊長、アデス艦長、おやすみなさい」
「おやすみさない」
「おやすみーっ」
ニコル・アスラン・ディアッカが就寝の挨拶をする。
まだ寝る気などないが、挨拶はせねば。
「おやすみなさい・・・」
イザークは挨拶しながら、チラリとを見た。
待っているぞ。という目だ。
「ああ、おやすみ。ゆっくり寝たまえ」
寝ろ。今すぐ寝ろ。と言いたげなクルーゼ。
「おやすみなさい」
イザークの視線に戸惑いつつ、微笑み返す。
アデスは・・・
「ゼルマンがっゼルマンがー」
酔っているため通じず。ブツブツ言いながら部屋へ入っていった。
パイロット四人も、の微笑みにウットリしながら部屋へ入っていった。
残るはクルーゼと。少し気まずい。
「あのっ、隊長・・・おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
は俯き挨拶をすると、部屋へ入った。
待ってるぞ。という言葉を背に受けながら・・・
今は9時・・・まだ考える時間はある。
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おまけ
アデスの部屋
「ううーっゼルマン!お前も飲めっ」
すっかり酔ってしまったアデス。
透き通った体のゼルマンに酒を勧めています。見知った人物なので、大丈夫らしい。
酒が入っていれば・・・。
アスラン・ニコル・ディアッカ・イザークの部屋
「早く寝たらどうだ!」
「無茶言うなよっ。こんな時間に寝られるかっての!」
「そうですよ!(それに、さんと話してないし・・・)」
「(にハロをプレゼントしよう・・・何色がいいかな・・・)」
イザークは、皆に早く寝ろと騒ぐ。寝てもらわなくては困るのだ。
ディアッカは、普通に寝るのは無理だと言う。のことはまだ日があるので何とかなると余裕で考えている。
駄目駄目です。
ニコルは、と話せるチャンスを待っている。
アスランは、にハロをプレゼントしようと考えている。ロボットを贈るのが本当に好きらしい。
クルーゼの部屋
「・・・・・・君は私を受け入れてくれるだろう?この私を、愛してくれるはず・・・」
一人星空を見上げながら、ワインを飲んでいた。
愛しい女性が自分の元へ来てくれることを願いながら。
数分後
想いに浸っていたところ、下のほうで『よっしゃー!もう一軒行くぞー!』という声が聞こえたが、聞かなかったことにした。
いつか討ってやる。そう思い、堪えた。
の様子は・・・7で