ラウ・ル・クルーゼ編
部屋を出た
「・・・迷いのない、嘘のない本当の気持ち。貴方に伝えなきゃ」
答えを出したは気持ちを伝えるため、クルーゼの部屋の前に立った。
緊張に震える手で部屋の扉を叩く。
トントンッ
「っ!!!!!」
来たっ!ほら来た!やっぱり来た!内心、踊りだしたいほど嬉しいクルーゼ。
が、クールな上官で通っているのだ。
間違っても「うひょー」とは言えない。言いたくない。
「誰だ?」
冷静に声をかける。
すると、
「あっ・・・です・・・」
少し震えた可愛らしい声で返事がかえってきた。
クルーゼは満足気にニヤリと笑い、浴衣を調え扉に向かう。
ガチャリと扉を開け、入りたまえ。とを招き入れる。
「あのっ・・・」
部屋に入ってすぐにが口を開いた。
「ん?何かな?」
まさか、断りの言葉を述べる気ではあるまいな?と少し不安になるクルーゼ。
そんな上官の心を悟ってか、は上目遣いで「私の気持ち、お伝えしたくて・・・」と言った。
少し頬を赤らめているに、クルーゼはホッと胸をなでおろす。
「ここに来てくれたということで、十分に伝わっているのだが?」
自分を受け入れてくれるなら部屋に来て欲しい。という願いをは聞いてくれた。
立派な答え。気持ちの表れ。
「あっ・・・でもっ・・・隊長は私に想いを伝えて下さいました。ですから、私もちゃんと隊長に・・・」
何故クルーゼの所に来たか、も伝えねば。
「そうか。では、聞かせてもらおうか?」
そう言いながらクルーゼはの腕を掴み、自分に引き寄せ包み込んだ。
互いの熱、鼓動が感じられる。
「///っはい。あのっ・・・隊に入る前から憧れていました。そのっ、素敵な上官だと///」
「ほう・・・v」
以前から、ということがたまらなく嬉しいクルーゼ。
自分の頭の上で上官がニヤニヤしているのも知らず、は話を進める。
「でもっ、それだけでした。最初は。隊長の側にいてドキドキするのも、憧れ尊敬しているからだと思ってました。
あ・・・素顔は美形かなーなんて思ったりもしてましたし・・・」
「・・・・・」
「でも、違ったみたいです。戦闘でも頼もしくて、色々と気づかってくれる。
そんな隊長を、自分でも知らない間に上官ではなく、男性として見ていたみたいです///」
「・・・そうか」
ずっと両思いだったか!もっと早く言えば良かった!と、考えるクルーゼ。
「でも、自分よりはるかに立場が上の隊長にそんなこと伝えられないって・・・本音を無意識に隠して・・・!!!///」
言葉が終わらないうちに、クルーゼはの唇を奪った。
の顎を持ち上げ、身をかがめてのキス。
ほんの一瞬の出来事。
「///っ、あっ、た、隊長っ///」
真っ赤になり、俯きクルーゼの胸に顔を埋める。
そんなの頭を愛しそうに撫で、そっと体を離すクルーゼ。
「///たいちょ?」
どうしたのかと顔を上げると・・・
「!!!!!っ/////」
目の前にはサングラスを外した、素顔のクルーゼがいる。
「っ///」
キリッとした目は綺麗な青色。言葉にはできないほどの美形。想像していたよりも美しい。
はつい視線を逸らしてしまった。
その様子をクルーゼは、愛しくも可笑しいと思う。
そして、「恋人に素顔を見せないのは変だろう?」と、フッと笑って見せた。
「/////い、いえっ、あのっ、あのっ/////」
視線を逸らしたままの。まともにクルーゼの顔を見ることができない。
「ふふっ。恋人同士なのだ、慣れてもらわねばな?、顔を上げなさい」
優しく、とろけるような声で囁く。
「///は、はい///」
ゆっくりと真っ赤な顔を上げると、優しい微笑みを浮かべた愛しい男が自分を見ていた。
「、私は何があっても君を離さない。たとえ世界を滅ぼそうとも、君だけは・・・」
片手での頬を撫でながら、クルーゼはそう言った。
言葉にどこか悲しそうな感情を感じたは、
「隊長・・・私、隊長のお側から離れません。一緒にいて・・・いいんですよね?」
恐る恐るクルーゼの手に触れ、聞いてみる。
すると、何を馬鹿な・・・と言う顔で、
「愚問だな。離さないと言ったはずだが?」
という答えを返してきた。
「!///隊長っ!///」
はクルーゼの答えが嬉しくて、恥ずかしさも何もかも忘れて飛びついてしまった。
飛びつき・・・というより、タックルに近い。
ドサッ・・・
急に飛びつかれたせいで、クルーゼはバランスを失い倒れてしまった。
と一緒に。しかも布団の上。
完全に油断していた。女性のタックルで倒れてしまうとは・・・ちょっとした恥だが、今は美味しい。
「・・・ふふっ。、君は積極的だな?」
自分の上にいるを抱きしめ、うっとりと言うクルーゼ。
「っ!///あ!すす、すみませんっ!い、今どきますっ///」
どういうことになっているかを理解し、慌ててどこうとする。
が、クルーゼが離すはずがない。
「離さない。と言った。君も離れないと言ったな?」
などと言い、笑っている。
この言葉には、子供か貴方は!?と思ったが、無駄だと思い、諦めた。
嫌なわけではないから。嫌どころか、嬉しい。
「隊長、意地悪ですねっ」
ちょっとむくれて見せる。
「好きな女性には意地悪したくなると言うだろう?」
またも昔の子供のようなことを言うクルーゼに、少し呆れては言った。
「それは子供の話じゃないんですか?」
この言葉に、クルーゼは苦笑しながら
「子供だよ、私は。君にこんなにも甘えているのだからな」
と、答えた。
「隊長・・・」
もーっ。といった感じで、はクルーゼの胸にボフッと顔を埋めた。
そのとたん・・・
バサッ
の目の前が反転した。
「???」
急の出来事なので、何が起こったのかすぐには分からない。
数秒経過・・・
今まで自分の下にいたクルーゼが上にいる。
自分は下に・・・これは・・・つまり・・・
「っ!!!///たっ、隊長!///」
ちょっと危険な状態だということを理解し、慌てる。
そんなを余裕の表情で見下ろしているクルーゼ。
「、その呼び方は、隊長はめて欲しいな。私達は恋人同士だぞ?名前で呼んで欲しいものだ。それと、話し方も普通にな」
そう、はさっきから「隊長」としか呼んでくれないし、話し方も上の者に対する話し方だ。
恋人だというのに・・・
「//っ//あ、///えっと・・・ラ・・・ラウ・・・?///」
初めて口にする名。呼ぶだけだというのに赤くなってしまう。
そんなが、頬を染めながら名前を呼んでくれるが愛しくて愛しくて・・・
クルーゼはを抱きかかえ、唇を重ねた。深く深いキス。
「///んっ・・・ラウっ・・・///」
唇を離すと、瞳を潤ませ色っぽい表情を向けるがいた。
さすがのクルーゼも、堪えきることはできない。
「・・・、急ですまんが私も男でな」
と言い、の頬を撫でる。
「///ラウっ///」
これはすぐに解った。どういうことなのか、すぐに理解した。
「嫌、か?もっとお互いを知ってからがいいと言うのなら、無理強いはしない」
愛しい女性を傷つけるような真似はしない。したくもない。
数秒の沈黙後、は呟いた。
「//っ、嫌じゃない///ラウなっ・・・らいいっ///」と。
許可を得たクルーゼは、ニコリと微笑み再びに口付けた。
恋人同士の熱い夜。
残りの二日間、幸せな時をおくれそうだ。
一方、ロビーのイザークは・・・
「・・・っ・・・」
いつまでたってもが現れないことから、フラれたと受け止め、悲しみに震えていた。
「っ・・・くっそーっ・・・くっそ、くそっ、くそっ、くそっ、くッそーぉっ!・・・」
ソファーを蹴飛ばし、気持ちを暴走させる。
そして・・・
ドタタタタタタタタッ!!
部屋まで帰ると、寝ていたアスラン・ニコル・ディアッカを蹴り起こし、夜の街へとカラオケに繰り出していった。
途中、わけのわからない金髪酔っ払いも巻き込み、歌いまくった。
気持ちよく眠っていたのに起こされたアスラン達は不機嫌だ。
そして翌朝、とクルーゼのイチャイチャを見せ付けられ、アスラン達はさらに不機嫌になった。
イザークは声もかけられないほどに落ち込んだ。
そして、アデスは自分だけ取り残されていると感じ、静かに落ち込んだ。
残りの二日間、少年達はせめてもの腹いせにと、クルーゼのカードで贅沢を尽くしたという。
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