甘く、低い声。





振り返ると背の高い赤茶色の髪をした青年が立っていた。



目覚めて最初に会った少年もいる。



美形、三人目……って、このお兄さん……



意識を手放す前に見た赤茶色の髪。



救いの手を差し伸べてくれた人。



「っ!助けてくれた人ですよね?!ありがとうございました!」



少女はタタッと小走りで青年の前までいき、助けてくれたお礼を述べる。



「ああ、気にしなくていい」



青年は、そんな事どうでもいいという顔。



助けてくれと言われたから助けた。



それだけの事だ。



「あのっ、お名前を聞いてもいいですか?」



命の恩人の名が気になるのは当然のこと。



少女が名を教えて欲しいと言うと……







「礼儀知らずな女……」







少年がポソリと呟いた。



他人に名を訊くのなら、まずは自分から名を名乗れと言いたいらしい。



ごめんなさい。と縮こまった少女を見て、青年が助け舟を出す。



「ユークレース、いい。先に礼儀を無視したのは私だ」



ユークレース……それが少年の名前らしい。



金髪の青年はアウインと呼ばれていた。



残るはこの赤茶色の髪の青年だけ。



「えと、失礼しました。私はといいます」



今度は大丈夫かな?



少年を気にしつつ名乗ると



「こちらこそ失礼した。私はロブノール。一応この城の主だ」



名を教えてくれた。



ついでに、城の主だとも。





…………





主……



城の主……



城の……





城!!!





は驚愕する。



「お城っ、お城って、山頂の?山頂のお城?」



気づいていなかった。



何処かのお金持ちのお屋敷だと思っていた。



の反応に、ロブノールは表情を変えることなく答える。



そうだ、と。



アウインは苦笑しながら、この辺りに城は此処しかないよと言う。



ユークレースはあきれ顔で、何処だと思っていたんだよと呟いた。



お金持ちのお屋敷だと思っていました。などと言ったら大変そうだ。



お城……ということは……










「ロ、ロブノールさんっ!お願いです!お薬を……万能薬をわけて下さい!」










城を目指していたのは、どんな病にでも効くと言われている薬をわけてもらうため。



町の人達に受け入れてもらうために必要。



城の主から薬を貰って来れたら町に住まわせてくれると……



ロブノールに詰め寄り、お願いだと頼むが―――







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ふーっ。ウェルカム〜三話目v
ヒロインさんと、残りの男吸血鬼二人の名前出せて満足満足。
それでは、ありがとうございましたっ。



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