戦争中とは思えないほど平和なヴェサリウス。
クルーゼ隊も少しだけダレ気味だった。
彼女が動き出すまでは。
Rouge
「ラ〜ウっ。今日も一日お疲れ様っ」
「ああ、もな」
ブリッジでの仕事を終え部屋に戻ってきたラウの胸に嬉しそうに飛びこむ。
ラウはぴょこんと飛びついてきた愛妻を抱きとめると、愛しそうに頬を撫でそっと唇を重ねた。
いつもの行動。
何も変わらない。
いつも通りの幸せな時間が流れる。
そう思っていた。
ラウが脱いだ軍服を手にとる前までは。
「ラウの馬鹿ぁ!!」
はシャワー室の戸を開け放ち、ラウに軍服を叩き付けると泣きながら部屋を出て行った。
突然の出来事。
さすがのラウも唖然とし、軽くフリーズした。
いったいどうしたと言うのだ?
何があった?
「!」
長く止まっているわけにはいかない。
またとんでもない誤解をしていたら困る。
フリーズ解除をしたラウはバッとタオルを掴み慌てて愛妻を追って出た。
が、妻は既に何処かへと走り去ったあとだった。
左右、どちらに行ったのか分からない。
「……」
タオルで顔を隠し、苦しそうに眉を寄せるラウ。
素っ裸。
隠す場所を間違えているが気にしない。
―――夫が素晴らしい裸体を晒している頃、妻は―――
ダンダンダンッ!
ダンダンッ!
「アスラン!?アスラン!」
アスランの部屋のドアを激しく叩いている。
ロックされているので入れない。
開けてもらうしかない。というわけで、激しく叩いている。
いるのでしょう?開けなさい。
寝ているのなら起きて開けなさい。
何が何でも開けなさい。
ダンダンッ!
ダンダンダンッ!
開けないでいたらドアを破壊してでも入ってくるに違いない。
ジェイソンのように。
「どうする、どうするのよ俺!?」
アスランはドアの前にしゃがみ込み、カードと睨めっこをしている。
カードにはそれぞれ「無視」「開ける」「隊長に連絡」。
どれを選んでも悲惨な目に遭うこと間違いなしだ。
続かない。
回避不可能。
もう開けるしかないじゃないか。
「はあ……どうしたんです?こんな時間に」
観念したアスランはいやいやロックを解除した。
ランプはレッドからグリーンへ。
これで入れる。
確認したは―――
絶好調
不調
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